ブラインドテニス競技規則 2026年度版

JBTFブラインドテニス競技規則 2026

第1章 総則

a) ブラインドテニスは、音の出るよう工夫されたスポンジボールを、プレーヤー同士がラケットで
打ち合い、ネットの上を行き来させる競技スポーツである。
b) 視覚障がいの程度に応じて競技クラスを区分し、各クラス別に対戦するシングルスおよびダブルスを
公式競技とする。
c) 本規則は、国際ブラインドテニス協会(以下、IBTAと略す)が定める競技規則に基づき日本ブランドテニス連盟(以下、JBTFと略す)が制定し、日本国内で開催される国内ローカル大会(JBTF主催大会、JBTF公認大会等)に適用する。
d) 以降の内容を変更して試合を行う場合は、その詳細を大会実施要綱等に必ず明記しなければならない。
ただし、JBTF公式トーナメント(JBTF主催大会およびJBTF公認大会)において変更できるのは、
本規則において複数の方式が記載されている事項、例外が認められている事項、または推奨として
いる事項のみとする。

◎補足a) 公式競技以外の種目
公式競技種目の他に交流を目的とした種目として、視覚障がい者と晴眼者とのペアによるダブルスなどがあり、実施要領については各競技大会の主催者により定められる。
◎補足b) 国際トーナメントにおける競技規則
日本国内で開催される競技大会のうち、IBTA公認トーナメントにおいてはIBTAが定める競技規則が適用される。
また、IBTA公認以外の国際トーナメントについても、原則としてIBTA競技規則に準拠して実施される。

第2章 コートと用具

第1条 コートの規格

a) コートは平坦な長方形で、サイズは競技クラスおよび種目により以下のとおりとする。
なお、日本国内ローカル大会において認められる運用については付則1に記載する。
■B1クラス(第39条a)参照)
・シングルス 縦12.80m、横6.10m
・ダブルス 縦12.80m、横8.23m
■B2/B3/B4クラス(第39条b)~d)参照)
・シングルス 縦18.28m、横8.23m
・ダブルス 縦18.28m、横10.97m
b) コートは中央でネットにより二分される。
ネット中央の高さは、競技クラスにより以下のとおりとする。
・B1クラス用コート 83cm
・B2/B3/B4クラス用コート 90cm
c) コートの縦方向の両端を結ぶ線をベースライン、コートの横方向の両端を結ぶ線をサイドラインと
呼ぶ。
d) ネットからベースラインに向かってB1クラス用コートは4.60m、B2/B3/B4クラス用コートは
6.40mのところで、サイドライン間にベースラインと平行に引いた線を、サービスラインと呼ぶ。
サービスラインとネットに囲まれた範囲を、センター・サービスラインという線で均等に二分し、
サービスコートと呼ぶ。
センター・サービスラインは、両サイドライン中間点でサイドラインと平行に引く。
e) ベースライン中央からネットに向かって10cm、後方に3m引く線をセンターマークラインと呼び、
サイドラインと平行とする。
f) ラインの幅は、センター・サービスラインおよびセンターマークラインは5cm、そのほかのラインは
2.5cm~5cmとするが、ベースラインのみ10cmまで太くすることがきる。
g) コートの寸法はすべてラインの外側まで測るものとする。
h) B1クラス用コートでは、ベースラインおよびセンターマークラインの全長、ならびにベースライン
両端からネットに向かうサイドライン上30cmで、ラインを突起させる。
突起させる方法として、ラインの下中央部に直径2mm程度の紐(例えば凧紐)を通す。
i) ベースラインからバックストップ間、およびサイドラインからサイドストップ間の最小距離、
ならびに床から天井までの高さに関するガイドラインについては付則2に記載する。

◎補足
センターマークの長さセンターマークのネット側10cmは、ベースラインの内側から10cmとする。

第2条 ネットおよびネットポスト

テニス仕様の他、以下の基準を満たすネットおよびネットポストを準用できるものとする。
a) ネットポスト(支柱)は、ショートテニス用あるいはその形状に類似するものとし、以下に規定する
ネットを中央部で各競技クラス規定の高さになるように支えられるものとする。
b) ネットは、長さが各競技クラスおよび種目に規定される横以上、幅76cm以上あるものとする。
網目の大きさについては特に規定しないが、ボールが相手コートに通り抜けないものとする。
ネットの上端は白色のバンドでおおい、バンドの幅は両側とも3.55cm以上6.35cm以下とする。
c) 左右のネットポストの位置は、サイドライン上もしくはサイドラインの外縁から外側とする。
ただし、ネットポストを支えるのに台座を使用する場合、台座は必ずラインの外縁より外側に置く。
ネットの両端とネットポストの間は最小限とし、ボールが通過してはならない。

◎補足1 ネットについて
現在、幅6.1mの基準を満たすネットは、バドミントン用あるいはショートテニス用で販売されて
います。
しかし、ショートテニス用のネットは種類が限られ、専用のネットポストを必要とする場合もあります。
現在までに各地域で使用されているネットおよびネットポストの状況、ならびにネット購入の
容易さから、現状ではバドミントン用の基準を、最低条件としています。

◎補足2 設置基準について
各地域で使用されている移動式ネットポストは、メーカーにより若干規格が異なり、厳格な規定を
設けると使用できない場合があります。
現状ではテニスのように明確な基準を設けることは困難と判断し、上記の通りとしています。

第3条 パーマネント・フィクスチュア

コートのパーマネント・フィクスチュアとは、バックストップ、サイドストップ、観客、観客用の
スタンドやシート、コートの回りや上部にあるすべての施設や設備、決められた位置にいる
各アンパイア、ボールパーソンのことをいう。

◎補足
ネットポストを支えるのに台座を使用する場合、台座はパーマネント・フィクスチュアとみなす。
また、他の球技用ネットおよびネットポストを代用する場合、各クラス規定のネット両端の高さより2.5cmを超える部分のネットポスト、および各クラス規定のサイドラインより外側0.914mを超える
位置にあるネットおよびネットポストもパーマネント・フィクスチュアとみなす。

第4条 ボール

a) JBTF公認球を使用する。
b) 色は黄または黒とする。

第5条 ラケット

a) 硬式テニスラケット、もしくはそれに類似するテニスラケットとし、フレームの全長はすべての
クラスで29インチ(73.7㎝)以下とする。
b) ラケットについては、ストリング(ガット)を含め、材質および種類に制限はない。
c) ラケットのフェイスについては、横11.5インチ(29.21㎝)、縦15.5インチ(39.37㎝)以内とする。

◎補足
基本的に市販されている公式ラケットを推奨します。
国内大会においては、27インチ以内のラケットであれば、長さのみの測定としますが、それ以上の長さのラケットを使用する場合はフェイスの縦と横も測定します。

第6条 服装とシューズ

a) プレーヤーは、清潔でプレーに相応しいと認められた、スポーツウェアを着用しなければならない。
大会によっては開催要項に明記して、服装の形や色を規制する場合がある。
ウェアの適否はレフェリー(ルールの法的問題に関する最終決定者)によって最終判断され、
必要に応じて服装または用具の交換の指示を受ける。

◎補足 着用できない服装
テニスに不適切な柄のTシャツ、ランニングシャツ、ランニングパンツ、ジーンズ、水着、その他の不適切と判断されたウェアは、ウォームアップ中でも着用はできない。

b) 肘や膝に装着するサポーターについては、特に制限はない。
c) シューズはテニスシューズとして販売されているもののほか、紐で足を固定できるものとし、
素材については特に制限はないが、床を傷つけないものとする。

第7条 アイマスクとアイシェード

B1クラス(第37条a)参照)に該当する選手は、アイマスクまたはアイシェードの着用が
義務付けられる。

a) アイマスクおよびアイシェードは、100%遮光性のある既製品とし、装着したときに隙間が
生じるなど、固定が不十分なものは使用してはならない。
b) アイマスクの柄は無地とし、色については規定しない。
c) アイマスクおよびアイシェードは、競技領域に入り次第、直ちに着用し、試合が終了するまで、
審判の許可無く勝手に外してはならない。

第3章 試合規則

第8条 試合形式

一人対一人で対戦する試合をシングルスとし、二人一組となり、二人対二人で行う試合を
ダブルスとする。

第9条 試合の開始

プレーヤーが各自のポジションにつき、主審からのコールにより試合が開始される。

第10条 試合の勝敗

本競技において、基本となる試合方式を“6ゲームマッチ”とし、以下に記す。その他の試合方式に
ついては、付則5を参照。

a) 相手に2ゲーム以上の差をつけて、6ゲームを先取した側が勝者となる。
b) ゲームカウントが5-5になったときは、第12ゲームまでスタンダード・ゲームを続け、
7ゲームを先取した側が勝者となる。
b) ゲームカウントが6-6になった場合は、第13ゲーム目をタイブレーク・ゲームとする。

第11条 スタンダード・ゲーム

a) スタンダード・ゲームは、4ポイント先取にて行う。
b) スタンダード・ゲームでは、以下のように得点を数え、サーバーの得点が先にアナウンスされる。

0ポイント: 0 「ラブ」
1ポイント: 15 「フィフティーン」
2ポイント: 30 「サーティー」
3ポイント: 40 「フォーティー」
4ポイント: ゲーム

c) 双方が3ポイントずつ取った“40-40”をデュースと言う。
d) デュースとなった場合は、ノーアドバンテージ方式を採用する。
このとき、レシーバーがレシーブサイドを選択する事ができる。(レシーバーズ・チョイスを
採用する。)
◎補足 ノーアドバンテージ方式について
ノーアドバンテージ方式では、デュースになったとき、その後に1ポイント(ディサイディング・
ポイント)を得た側が、そのゲームの勝者となる。

第12条 タイブレーク・ゲーム

a) タイブレーク・ゲームは7ポイント先取とし、ポイントが6-6となったときは、その後2ポイント
差がつくまで行う。
b) タイブレーク・ゲームでは、0「ゼロ」、1「ワン」、2「ツー」、3「スリー」…と数え、大きい数字→
小さい数字→リードしている選手名の順にアナウンスされる。
c) タイブレーク・ゲームにおいて、ディサイディング・ポイントを設ける場合は、スタンダード・
ゲームのデュース同様、レシーバーズ・チョイスを採用する。

第13条 サーバーおよびレシーバー

対戦するプレーヤー同士は、互いにネットを挟んで向かい合って立ち、最初にボールを打つプレーヤーをサーバーといい、そのボールを返球しようとするプレーヤーをレシーバーと言う。

第14条 エンド(コート)とサービスの選択

対戦するプレーヤーはウォームアップ前にトス(ジャンケン等)を行い、トスの勝者は以下の1つを選択することができる。
a) 第1ゲームでサーバーになるか、レシーバーになるかを選択する。
このとき、トスの敗者はエンドを選択する。
b) 第1ゲームのエンドを選択する。
このとき、トスの敗者はサーバーかレシーバーかを選択する。
c) トスの敗者に、上記のどちらかを先に選択させる。

第15条 エンド(コート)の交代

a) エンドの交代は、奇数ゲーム終了後に行う。
b) タイブレーク・ゲームにおいては、総得点が6の倍数にて行う。

第16条 ボールインプレー

サービスにより、ラケットからボールが離れた瞬間をもってインプレーとなる。
フォールトまたはレットがコールされない限り、サービスが打たれた瞬間からポイントが決まるまで、
ボールはインプレーとなる。

第17条 ラインに触れたボール

コート上のラインに触れたボールは、正しく入ったものとみなされる。

第18条 パーマネント・フィクスチュアに触れたボール

a) インプレーのボールが、1バウンドする前に直接パーマネント・フィクスチュアに触れた場合は、
そのボールを打ったプレーヤーの失点となる。
b) インプレーのボールが、1バウンド目で正しくコート内で弾み、その後各クラス規定の有効最多
バウンド数を超える前にパーマネント・フィクスチュアに触れた場合は、そのボールを打った
プレーヤーの得点となる。

例 B1クラスの試合において、2バウンドしたボールがボールパーソンに触れてしまった。
これはどちらの得点となるか。
答え:ボールパーソンは、パーマネント・フィクスチュアに含まれるため、打ったプレーヤーの
得点となる。

◎補足
コート外のプレー領域は、付則2を、ボールパーソンの待機位置は、第47条a)を前提としており、
これに該当しない場合は、第28条 インプレーにおけるレット(やり直し)b)を適用し、主審の判断に
より決定する。

第19条 サービスの順序

シングルスにおけるサービスの順序を以下に記す。

a) スタンダード・ゲームでサービスをする場合、サーバーは右コート、左コートの順で行う。
各ゲームとも右コートからサービスを始める。
b) スタンダード・ゲームでは、各ゲームが終了後、そのゲームのレシーバーが次のゲームでは
サーバーとなり、サーバーはレシーバーとなる。
c) タイブレーク・ゲームでは、1ポイント目を第1ゲームのサーバーが右サイドから行い、以後は
相手側から左サイド、右サイドの順で2ポイントずつサービスを行う。

タイブレーク・ゲームでのサービス順は、以下の通りとなる。

1本目: 第1ゲームのサーバーが”右サイド”からサービス
2本目: 第2ゲームのサーバーが”左サイド”からサービス
3本目: 第2ゲームのサーバーが”右サイド”からサービス
4本目: 第1ゲームのサーバーが”左サイド”からサービス
5本目: 第1ゲームのサーバーが”右サイド”からサービス
6本目: 第2ゲームのサーバーが”左サイド”からサービス
7本目: 第2ゲームのサーバーが”右サイド”からサービス
8本目: 第1ゲームのサーバーが”左サイド”からサービス
9本目: 第1ゲームのサーバーが”右サイド”からサービス

以後、上記の順にて行う。

第20条 サービスの方法

a) サーバーは、ベースライン後方で、センターマークラインとサイドライン、それぞれの仮想延長線で挟まれたサービスエリアから、ネットに向かって立つ。
このとき、サーバーの両足はサービスエリア内に入っていなければならない。
b) サーバーはサービスを打つ前に、レシーバーに対し”Ready?”と声を掛け、レシーバーの”Yes.”の
返答を受けた後、5秒以内に”Play.”と発声してサービスを打たなければならない。
このとき、レシーバーはサーバーの声掛けから5秒以内に返答しなければならないが、レシーバーの
準備ができていない場合は、サーバーに対し掛け声のやり直しを要求することができる。
日本国内ローカル大会において認められるこのほかの声掛けの方法については付則xに記載する。
c) サーバーは、相手に声掛けをした立ち位置で、サービスをしなければならない。
d) サービスは、手でボールを放ち、そのボールが1バウンドするまでに、ラケットで打つものとする。
ボールが手から離れてから、ボールを打つ意思を示さず、手で捕球するか、床に落とした場合は、
サービスのやり直しができる。ただし、空振りは認めない。
e) 1回のサービスで、ラケットを振ることができるのは1回とする。
f) サービスは、ラケットがボールに触れたとき、あるいは空振りしたときに、完了したものとする。
g) サービスは、右サービスエリアから行い、ポイント決定後、左サービスエリアから行う。
以後ポイント決定ごとに、左右交互に行う。
h) サービスは、自身のサービスエリアから、対角方向にある相手のサービスコート内に打たなければ
ならない。
i) サービスされたボールは、ネットを越えて対角方向のサービスコート内で1バウンドしなければ
ならず、ネットを超える前に自身のコート内でバウンドしてはならない。
尚、1バウンド目で正しくサービスコート内に入ったボールは、それ以降コート内外を問わない。

◎補足
正しく相手のサービスコート内で1バウンドしたボールが、バックスピン等でネットを超えて、打った
側のコートに戻った場合も、有効なサービスである。
相手側選手に各クラス規定の有効最多バウンド数(第41条参照)の返球機会が与えられていたかは
関係しない。

j) 片手しか使えないプレーヤーは、ボールをほうり投げるために、ラケットを使ってもよい。

第21条 フット・フォールト

サーバーは、相手に声をかけてからサービスが完了するまでの間、以下のいずれかに違反した場合、
フット・フォールトとなる。

a) レシーバーへの声掛けの後、立っている位置を明らかに変えて、サービスをしたとき。
足を少し動かすぐらいは構わない。
◎補足
サーバーから声掛けが発せられた立ち位置は、相手選手が見えない、あるいは見えにくいレシーバーに
とっては、重要な情報になります。
また、サーバーからの声掛けは、レシーバーに対しサーブを打つ準備が整い、サービスを打つことを
相手に伝える事を目的としています。
以上のことから、ブラインドテニスでは、声掛けの後、立ち位置を変更した場合は“フット・フォールト”の対象となります。

b) 歩いたり走ったり、助走しながらサービスをしたとき。
c) どちらかの足が、ベースラインまたはその内側のコートを踏んだとき。
d) どちらかの足が、サイドラインの仮想延長線外側の床面に触れたとき。
e) どちらかの足が、センターマークラインまたはその仮想延長線を踏んだとき。

第22条 サービス・フォールト

下記の場合はサービス・フォールトとなる。

a) 第20条、第21条に違反したとき。
b) サービスのボールを空振りしたとき。
c) 相手からの返答後、サービス動作に入る前にボールにラケットを当てたとき。
d) ボールを持ったまま、ラケットでボールを押し出したサービス。

◎補足
押し出したサービスは、打球音が無く、サーバーの動きが見えない、あるいは見えにくいレシーバーには、明らかに不利になります。そのためブラインドテニスでは、特に厳格なジャッジが求められます。

e) スイング中に故意にボールに2度当てた場合。(故意にダブルヒットしたサービス)
f) サービスされたボールが、サーバー自身に直接当たるか、あるいは着衣・持ち物に触れたとき。
g) サービスされたボールが、相手サービスコート内で1バウンドする前に、ネットポストあるいは
パーマネント・フィクスチュアに触れたとき。
h) サービスされたボールが、相手サービスコートに入らなかったとき。
i) 両足がサービスコート外に位置する相手プレーヤーに、直接サービスしたボールが当たったとき。

第23条 第2サービス(セカンドサービス)

第1サービスがフォールトであれば、そのサービスが誤ったコートから打たれたのではない限り、
フォールトした同じ側のコートから、速やかに第2サービスを打つ。

第24条 サービスのレット(やり直し)

次のサービスはレットとし、サーバーはそのサービスをやり直すものとする。
サービスレットの場合、そのサービスはしたことにはならず、サーバーはもう1度そのサービスを
やり直すことができるが、そのサービスがセカンドサービスの場合、1つ前のフォールトを
取り消すことはない。

a) サービスしたボールがネットに触れた後、対角方向にある相手側のサービスコートに入ったとき。
b) 相手プレーヤーからの返答がないうちに、または返答後”Play.”の発声なしにサービスが
行われたとき。
c) レシーバーからの返答、または返答後の”Play.”の発声、もしくは”Play.”発声後のサービスが極端に
遅いとき、あるいはお互いのタイミングが合わない場合は、審判の判断にてレットとする。

第25条 レシーブの方法

レシーバーはサービスされたボールを、第39条に規定された有効バウンド数で、返球しなければ
ならない。
第26条 プレーヤーの失点

下記の場合、プレーヤーは失点する。

a) 2回続けてフォールトをしたとき。
b) インプレーのボールを、各クラス規定の有効バウンド数(第39条参照)で、返球できなかった
とき。
c) 返球したボールが、入れるべきコートの外の床面に着地、または着地する前に直接パーマネント・
フィクスチュアに当たったとき。
a) サービスされたボールを、レシーバーがバウンドする前に返球したとき。
サービスされたボールは、必ず1バウンドした後に返球しなくてはならない。
e) インプレーのボールを、ラケットで故意に運んだり、その他の手段でボールを止めたとき。
f) 返球する際、2度以上のスウィングで、スウィング毎にボールがラケットに触れたとき。
ただし、1回のスウィング中に2度当たって返球されたボール(ダブルヒット)は有効とする。
g) インプレー中に、プレーヤーのラケット、身体、着衣を含む持ち物が、ネットおよびネットポスト、または相手コートに触れたとき。
このとき、ラケットなどの持ち物が、身体に接していたか否かは関係しない。
h) ボールがネットを越して来る前に打ったとき。
i) インプレーのボールが、コート内にいるプレーヤー(ラケットを持つ側の手首から先は含めない)、
またはそのプレーヤーが手に持っているラケット以外の着衣、もしくは持ち物に当たったとき。
ただし、両足がコート外に位置するプレーヤーに、ノーバウンドで当たった場合は相手側の失点と
なる。
j) プレーヤーの手から離れたラケットに、インプレーのボールが当たったとき。
k) インプレー中、大きな声や音を出し、故意に相手プレーヤーのプレーを妨害したと判断された場合。
l) インプレー中、アイマスクまたはアイシェードが外れたとき。

第27条 インプレーにおける有効な返球

a) 打ち返したボールが、ネットまたはネットポストに触れ、正しく相手側コートに入ったとき。
b) 相手が打ったボールが、1バウンド目で正しくコート内で弾み、バックスピン等でその後ネットに
触れたが、各クラス規定の有効バウンド数(第39条参照)で、ネットに触れず相手側コート内に
返球したとき。
返球時、身体の一部(着衣およびラケットを含む)が、誤ってネットに触れた場合はネットタッチと
なり、触れた選手の失点となる。
a) 返球したボールが、1バウンド目で正しく相手コート内で弾み、そのボールがバックスピン等でネットを超えて返球した側のコートに戻ったとき。
各クラス規定の有効最多バウンド数(第39条参照)に達してなくても、バックスピン等でネットを
超えたボールが、打った側のコートで弾んだ時点で得点となる。
この場合、相手選手は、戻ろうとしたボールを打ち返した位置が、ネットを超えていても有効な
返球となる。
d) ボールが、ネットポストの外側を飛び、相手コート内に入ったとき。
e) ボールが、コート内に落ちている他のボール、衣服、持ち物等に当たっても、これを相手側コートに
正しく返球したとき。
a) ボールが、ラケットを持つ側の手首より先に当たっても、これを相手側コートに正しく返球した
とき。

第28条 インプレーにおけるレット(やり直し)

インプレーにおいて、以下の様な事項でプレーが中断したときは、そのポイントを有効とせず、
そのポイントの最初からやり直す。(ファーストサーブからやり直す)

a) 審判が判定を誤ったため、プレーに支障が生じたとき。
b) プレーヤーが不可抗力によって、そのプレーを妨げられたとき。
ただし、プレーヤーからのアピールがあった場合に限り、主審の判断により決定する。
例:施設内の扉の開閉音、近隣コートのプレーヤーの声等。
a) インプレーのボール以外が、コート内に入ってきたとき。

◎補足 セカンドサービスにおけるレットについて
テニス同様、セカンドサービスでは、サービスモーションに入って以降にボールがコート内に入って来たときは、ファーストサービスからやり直すが、ブラインドテニスでは、”Ready?””Yes.”の声掛けの後で
あっても、サービスモーションに入る前であれば、改めて声掛けをし、セカンドサービスを行なう。

b) インプレー中ボールが破損し、競技ボールとして使用できないとき。
ただし、ボール表面の僅かな亀裂、ならびに音の変化が軽度で、バウンドに支障がなければ、
ポイントが決まるまで使用する。

第29条 ダブルス試合

視覚障がい者同士でペアを組むダブルス試合について以下に記す。

a) ペアは、トスによりサービス、レシーブ、エンドが決定した後、サーバーの順番とレシーバーの
サイドを審判および相手ペアに申告する。
セットを通して変更してはならない。
変更する場合は、次セットが開始する前に審判および相手ペアに申告する。
b) サービスは、ペアにおいて第1サーバーと第2サーバーを定め、その順番で行う。

〈スタンダード・ゲームでのサービスの順番〉
第1ゲーム:トスでサービス権を取得したペアの第1サーバーが、このゲームの終了までサービスする。
第2ゲーム:相手ペアの第1サーバーが、このゲーム終了までサービスする。
第3ゲーム:トスでサービス権を取得したペアの第2サーバーが、このゲーム終了までサービスする。
第4ゲーム:相手ペアの第2サーバーが、このゲーム終了までサービスする。
以後、上記の順で進める。

〈タイブレーク・ゲームでのサービスの順番〉
1本目:第1ゲームのサーバーが、右サイドからサービスする。
2本目:第2ゲームのサーバーが、左サイドからサービスする。
3本目:第2ゲームのサーバーが、右サイドからサービスする。
4本目:第3ゲームのサーバーが、左サイドからサービスする。
5本目:第3ゲームのサーバーが、右サイドからサービスする。
6本目:第4ゲームのサーバーが、左サイドからサービスする。
7本目:第4ゲームのサーバーが、右サイドからサービスする。
8本目:第1ゲームのサーバーが、左サイドからサービスする。
以後、上記の順で進める。

c) レシーブは、各サイドに入るプレーヤーを決める。
右サイドに入るプレーヤーは左サイドサービスを受けることはできない。
左サイドに入るプレーヤーは右サイドでサービスを受けることはできない。
d) レシーバーがサービスを返球したあと、ラリー中はサイドを問わず、ペアのどちらのプレーヤーが
ボールを打ってもよい。
e) インプレー中を含め、ペア間の適切な声の掛け合いを認める。
f) ラリー中、ペアのいずれかがプレーに参加していないと審判が判断した場合、一度目は警告、
二度目は失点とする。(付則4 コードバイオレーション参照)

第30条 その他のルール

a) インプレー前、プレーヤーは審判およびボールパーソンに、所定の位置を確認することができる。
b) アウトオブプレーになった後、プレーヤーは審判にフォールトおよびアウトに関する確認をする
ことができる。
a) 近隣コートの影響で、プレーヤーがプレーに支障があると判断した場合、プレーヤーは主審に
その旨を伝える事ができる。
b) 第37条に定めるB2、B3およびB4クラスにおいて、ボールの色の選択権はサーバーが有する。
ただし、同一ゲーム中は選択したボールの色を変更することはできない。
c) 試合中のラケット交換はゲーム終了後とし、その旨を主審に伝え、主審から相手プレーヤーに
伝える。
ただし、ラケット破損やストリング(ガット)が切れるなど、急を要する場合は以下の通りとなる。
1) ラケットの破損、あるいはストリングが切れている場合、新しいポイントをプレーすることは
できない。
ラリー中にラケットが破損、あるいはストリングが切れた場合、ポイントが終わるまでプレーを
続ける。
2) サービスを打ったとき、サーバーのラケットのストリングが切れた場合、そのサービスが
フォールトの場合は、引き続き第2サービスを打っても、あるいはラケットを交換してから
第2サービスを打っても構わない。
3) 第1サービスのフォールトのボールを、反射的に打ち返したときに、レシーバーのラケットが
破損、またはストリングが切れた場合、レシーバーはラケットを交換しなければならない。
このとき、第1サービスからやり直す。
a) プレーヤーは、メディカル・タイムアウト(MTO)、およびトイレットブレークをとることが
できる。
MTOに関しては“付則4 メディカルルール(ケガ、病気に関するルール)”を参照。
トイレットブレークに関しては“付則5 トイレットブレークと着替え”を参照。

第31条 誤りの訂正

本規則に関わる誤りが発見された場合、原則、下記に従ってその誤りを修正する。
なお、試合に時間制限があるなどの場合、審判および対戦者が合意すれば、下記の方法に
従わなくてもよい。

a) シングルス・ダブルスを問わずすべての試合において、誤ったサイド、誤ったエンド、誤った
サーバーの順番によるサービス、および誤ったレシーバーのサイド(ダブルスのみ)が判明した
場合、ただちに修正し、次のプレーにおいては、スコアに基づき正しくプレーする。その際、
間違って付与されたポイントをすべて取り消し、スタンダード・ゲームにおいてはゲームカウントを含め訂正する。
ファースト・サービスからやり直す。
なお、試合終了後の訂正は行わない。
b) 6ゲームオールになったとき、第13ゲームをタイブレーク・ゲームではなく、誤ってスタンダード・ゲームでプレーした場合は、いかなる場合でもやり直しとし、6ゲームオールタイブレークから
行う。

第32条 妨害

インプレー中、相手が故意に、そのプレーを妨害したと主審が判断した場合は、相手の失点となる。
しかし、故意ではなく無意識なプレーで、結果として妨げてし まった場合、あるいはプレーヤーに
責任のない、何かの物体によってプレーが妨げられた場合は、レットとしポイントのやり直しとなる。

第33条 コーチング

各プレーヤーは、コーチを指名し、コーチングを受けることができる。

a) 各プレーヤーは、クラスや性別に関わりなく、自らのコーチを指名することができる。
b) コーチとして指名を受ける者は、視力、性別、テニス経験の有無を問わない。
c) 指名できるコーチは、1試合に1名とし、試合開始時に、審判および相手プレーヤーに申告する。
d) コーチからコーチングを受けられるのはエンドチェンジのときのみとし、90秒以内とする。
e) 上記以外、観客を含め、第3者からのコーチングを禁止する。第3者からのコーチングがあった
場合、審判からその旨該当プレーヤーに注意し、1度目は警告、2度目以降は失点とする。
なお、特定の観客からのコーチングについては、迅速に、大会主催者が対処するものとする。

第34条 プレーヤーのマナー

同一会場内で、複数のコートを設置して試合が行われている場合は、他のコートのプレーヤーに影響を
与えないために、各プレーヤーは大きな音や声を出さないよう、心がけなくてはならない。
他のプレーヤーに影響を与える行為が見受けられた場合は、該当コートの審判、あるいは他のコートの
審判より注意を受ける。
その後も継続して他のコートに影響を与える行為が続いた場合は、該当試合を直ちに終了し、該当者は
敗者となり退場処分となる。

第35条 プレーヤーの失格

a) 第32条、第33条、第34条に違反したとき。
b) 主審が該当試合に到着し、ウォームアップ時間を含め10分を経過しても、プレーヤーが現れなかった
とき、あるいは試合ができる状態にないとき。不戦敗となる。
c) 主審の指示に従わなかったとき。
d) トイレットブレークおよびメディカル・タイムアウトにおいて、理にかなった時間を経過しても、
試合に再開できなかったとき。
主審あるいは、大会責任者などの判断による。
a) トイレットブレークおよびメディカル・タイムアウトを、規定数より多くとったとき。

第36条 盲導犬

盲導犬の待機場所は大会主催者が認めた場所とし、競技区画内への立ち入りは禁ずる。
待機中の盲導犬により大会運営に支障が出た場合(吠えたり、うなったりなど)、審判にその旨を伝え
許可を得た後、速やかに大会スタッフと移動し対応する。
1度目は警告とし、2度目はその試合が終了するまで盲導犬を別室待機させる。

第4章 競技クラスと有効バウンド数

第37条 競技クラスとエントリー条件

視機能の程度により、以下の通りクラスを設け、男女別とする。
なお、クラスの併合あるいは男女混合にて競技を実施する場合については付則xに記載する。

a) B1クラス
LogMAR2.60より低い視力(小数視力換算0.0025未満)とする。
アイマスクまたはアイシェードの着用を義務付ける。
b) B2クラス
視力LogMAR1.50~2.60(小数視力換算0.0025~0.032)とする。
c) B3クラス
視力LogMAR1.0~1.40(小数視力換算0.04~0.1)、または視野直径10度未満かつ視力LogMAR0.5超
(小数視力換算0.32超:B4視力)とし、いずれかの条件を満たしていることとする。
d) B4クラス
視力LogMAR0.5~0.9(小数視力換算0.125~0.32)、または視野直径40度未満かつ視力LogMAR0.5
超(小数視力換算0.32超:B4視力)とし、いずれかの条件を満たしていることとする。

※ 視力と視野の傷害の組み合わせは以下のとおりとする。
視力B3相当で視野B3相当の方は、B2
視力B3相当で視野B4相当でB2
視力B4相当で視野B3相当でB2
視力B4相当で視野B4相当でB3
◎補足1 視機能分類について
視力においては、両眼開放での矯正視力、もしくは片眼ずつの評価であれば良い方の眼の矯正視力で
判定し、視野は両眼の重ね合わせで判定することする。

◎補足2 エントリー条件について
日本国内ローカル大会においては、以下の条件により、視機能の程度による分類とは別の競技クラスに
出場することができる。
a) B1クラスには、他の競技クラスの者も、アイマスクまたはアイシェードを着用することにより
出場することができる。
b) B2クラスには、B1クラスの者も出場することができる。
c) B3クラスには、B1およびB2クラスの者も出場することができる。
d) B4クラスには、他の競技クラスの者も出場することができる。

なお、IBTA公認トーナメントにおいては、視機能の程度により該当する競技クラスにのみ出場することができる。
したがって、B2からB4に該当する者は、アイマスクまたはアイシェードを着用してもB1クラスに
出場することはできない。

◎補足3 視野の測定方法
視野については、ゴールドマン視野計のIII/4eの視標もしくは自動視野計でそれに相当する視標での
視野の範囲で判定する。

第38条 ダブルスにおける競技クラス

視覚障がい者同士でペアを組むダブルスにおいては、第37条に定めるクラス分けに基づき、
同一クラスのプレーヤー同士でペアを組み、男子ペア・女子ペア・男女混合ペアの別にて対戦する。
ただし、大会により男女共通あるいは別クラスと併合して開催される場合もある。
別クラスと併合して実施する場合は、プレーヤー別に各々のクラス分類の有効バウンド数
(第39条参照)を適用することが望ましい。

◎補足 視覚障がい者と晴眼者のダブルスについて
交流を目的として、視覚障がい者と晴眼者がペアになり対戦する種目もある。
サービスおよびラリーにおいて、晴眼者プレーヤーは続けてプレーすることはできない。
その他のルールは、大会により規定される。

第39条 有効バウンド数

クラスに応じて、返球できる有効バウンド数が異なる。 尚、1バウンド目で正しくコート内に入った
ボールは、各クラス規定の有効最多バウンド数を超えていなくても、ボールがパーマネント・
フィクスチュアに触れた時点で、打った側の得点となる。

a) B1ならびにB2クラス(第37条参照)は、3バウンドまでの打球を有効とし、4バウンドした
時点でレシーバーの失点が確定する。
尚、1バウンド目で正しくコート内に入ったボールは、それ以降コート内外を問わない。
b) B3クラス(第37条参照)は、2バウンドまでの打球を有効とし、3バウンドした時点で
レシーバーの失点が確定する。
尚、1バウンド目で正しくコート内に入ったボールは、それ以降コート内外を問わない。
c) B4クラス(第37条参照)は、1バウンドまでの打球を有効とし、2バウンドした時点で
レシーバーの失点が確定する。

第5章 審判の任務と権限

第40条 審判の構成

主審、副審、各1名ずつにて構成され、大会運営の都合に合わせて、線審を置く事ができる。

第41条 主審の任務

a) 試合の勝敗の決定をする。
b) 試合中でのゲームカウントおよびポイントの管理を行う。
c) 試合中でのプレーヤーのポジションが、適切かどうかを管理する。
d) 試合中でのゲームカウントおよびポイントを、プレーヤーにコールをする。
e) 試合中でのアウトやレットなどを、プレーヤーにコールをする。
f) サービスやレシーブなど、適切でない順序、位置でのプレーを発見したときは、プレーヤーを
適切な順序、位置に戻し、プレーを再開 させる。
g) 担当ラインについて、ボールの落下地点をチェックする。
h) 試合中に、プレーヤーが規定バウンド数以内で打球したか否かをチェックする。
i) 各サーブにおけるレットについて、ボールがネットに触れているか否かをチェックする。
j) プレーヤーのラケット、身体、持ち物が、ネットに触れているか否かをチェックする。
k) プレーヤーが、オーバーネットをしているか否かをチェックする。
l) その他試合に関わるプレーについて、全てを管理する。
m) B1クラスにおいては、アイマスクまたはアイシェードの着用を確認する。

第42条 主審の権限

a) 試合の勝敗の決定を行なうことができる。
b) 試合中のプレーについて、有効、無効の判定を決定できる。
c) 試合中の適切でない順序、位置について、正しい順序、位置に戻るようにプレーヤーに指示できる。
d) 主審の判定について、従わないプレーヤーに注意をし、それでもなお従わないプレーヤーに
ついては、退場させる権限をもつ。
退場となったプレーヤーは、その試合では敗者となる。
a) その他、試合に関わる全ての判定を決定できる。

第43条 副審の任務

a) 担当ラインについて、ボールの落下地点をチェックし、ボールがラインの外側に出ている場合
(有効でない場合)は、主審に合図する。
b) 試合中にプレーヤーが、規定バウンド数以内で打球したか否かをチェックし、規定バウンド数以上の
場合は主審に合図する。
c) 副審の任務は、主審の判定への情報提供であり、副審の判定でプレーが決定することはない。
d) 得点板を用いて試合の得失ゲーム数や、得失ポイント数を表示する場合、試合進行に合わせて
得点板を更新する。

第44条 審判の担当ライン

a) 主審は、コート全体のラインを担当する。
b) 副審は、サーブ時のサービスラインと副審側サイドライン、ラリー中はベースラインと副審側
サイドラインを担当する。

第6章 コール

第45条 試合中のコール

○ アウト「Out」
打球がコート外に着地したとき、あるいは競技規則に定める“不正なプレー”を行ったとき。
○ フォールト「Fault」
サービスされたボールが、所定のサービスコートに入らなかったとき。
ネットを越えず、自分のコートにボールが落ちたときもコールする。
○ ダブル・フォールト「Double Fault」
フォールトを2度行ったとき。
○ フット・フォールト「Foot Fault」
第22条に違反したとき。サーブを打った瞬間にコールする。
○ レット「Let」
主審が、サービスおよびプレーをやり直すと判断したとき。
○ ネット「Net」
サービスならびに返球されたボールが、ネットに触れた後、相手コートに正しく入らなかったとき。
○ ネット・イン「Net In」
サービスされたボールがネットに触れて、相手サービスコートに正しく入ったとき。
返球されたボールがネット・インした場合は、コールしてはならない。
ネット・イン「Net In」の代わりに、レット「Let」をコールしてもよい。
ファーストサービスでネット・インしたときは、「ネット・イン ファーストサービス」、あるいは
「レット ファーストサービス」とコールする。
○ タッチ「Touch」
ボールが身体に触れたとき。
持ち物を相手コートに落としたとき。
ラケットや身体がネットに触れたとき。
ボールがラケットにかすったとき。
○ ノットアップ「Not Up」
打たれたボールが、規定バウンド数を超えてバウンドしたとき、あるいは打ったとき。
プレーヤーが有効バウンド数以内で空振りをし、その後返球ができないと判断したとしても、
その場ではコールせず、有効バウンド数を超えた後にコールする。
○ ポイント(名前)「Point “NAME”」
ポイントが確定したとき、ポイントを取得した側の名前をコールする。
ブラインドテニスにおいては、どちらのプレーヤーがポイントを取得したか、わからない場合が
あるため、アウト、ネットなどのコールの後に、必ずポイントを取得した側の名前をコールする。
ただし、返球で打ち損じ、自分のコート内にボールが落ちたときのコールは設けていないため、
そのまま“ポイント(名前)”でコールする。
例: アウト ポイントA
ネット ポイントB
○ ファウルショット「Foul Shot」
故意に2度打ちしたとき。
ボールがネットを越してくる前に打ったとき。

○ ウェイト プリーズ「Wait Please」
何らかの不都合が起こり、サーブを打つのを待つよう知らせるとき。
○ ワンモアー「One More」
サーバーからの掛け声と、レシーバーからの返答で、お互いがコンタクト出来なかった場合、
再度サーバーに掛け声を掛けるよう指示するとき。
一度「レット」をコールし、「ワンモアー」のコールが望ましい。
例: レット ワンモアー
○ プレー「Play」
中断しているプレーを再開するとき。
○ コレクション「Correction」
フォールトまたはアウトを、インに訂正するとき。
○ ヒンダランス「Hindrance」
プレーヤーが“故意に相手を妨害”したとき。(失点)
プレーヤーが“無意識に相手を妨害”したとき。(レット)
○ ディサイディング・ポイント「Deciding Point」
次の1ポイントで、そのゲームの勝敗が決まるとき。
○ レシーバーズ・チョイス「Receiver’s Choice」
ディサイディング・ポイントを迎え、レシーバーに右サイドか左サイドかを選択させるとき。
例: デュース ディサイディング・ポイント レシーバーズ・チョイス。
○ チェンジ サービス「Change Service」
サービスが相手側に変更となったとき。
○ チェンジ エンド「Change End」
奇数ゲームが終了した後に、コート変更を促すとき。

◎補足
フォールトやアウトになったとき、プレーヤーからボールがどの位置に落ちたかを尋ねられる場合が
あります。
その場合、以下を基に「○番、外にボール○個」と言ったように伝えてください。
距離の目安は、主審の感覚でお伝えください。
プレーヤーには、距離の雰囲気が伝われば問題ありません。

フォールトの例:6番、外にボール3個(または30cm)。
9番、外に1m。
7番、逆コートにボール2個(20cm)。

アウトの例:アドサイド12番、ベースラインから奥に50㎝。
デュースサイド9番、外に30㎝。

第46条 ポイントのコール

a) 「ラブ、フィフティーン、サーティー、フォーティー」
スタンダード・ゲームにおけるポイント。サーバー側からコールする。
b) 「ゼロ・ワン・ツー・スリー・・・」
タイブレーク・ゲームでのポイント。
大きい数字→小さい数字→リードしている選手名の順に、アナウンスする。
c) 「オール」
スタンダード・ゲームにおいて同点のときは、15-15「フィフティーン・オール」、
30-30「サーティー・オール」とコールする。
40-40の場合に限り「デュース」とコールする。
タイブレーク・ゲームにおいて同点のときは、1-1「ワンオール」、2-2「ツーオール」・・・と
コールする。

第7章 ボールパーソン

第47条 ボールパーソンの待機位置と役割

ボールパーソンは、試合を円滑に進めるため、以下の事を行う。

a) プレー領域の最後方に待機し、バックゾーンのボールを拾う。
待機中、担当プレーヤーの邪魔にならないよう注意する。
b) サーバーにボールを渡す。
担当プレーヤーに一度声を掛けた後、直接手渡しをするか、ゆっくりとしたスピードでボールを
転がす。
c) チェンジエンド(反対側コートへの移動)の際、プレーヤーの誘導を行う。
誘導する際は、プレーヤーにボールパーソンの肩あるいは肘を持たせ、ボールパーソンが先を歩く。
このとき、補水を行うかを担当プレーヤーに確認する。

第48条 ボールパーソンのマナー

a) 待機中は、声や物音を立ててはならない。
b) ボールパーソン間でのボール交換は、プレーが中断しているときに行う。
◎補足 コートの仮想位置番号について
ブラインドテニスでは、サーブならびに返球をした後、相手コートのどの位置にボールが入ったかを
明らかにするため、センター・サービスラインから左右をそれぞれ12分割し、コート内に仮想的な
番号を付加して説明をします。
はじめにサービスコート内を9等分します。
次にサービスラインからベースラインの間を、センターからサイドに向かって3等分し、
合計12分割します。
9等分された部分は、センターラインからサイドラインに向かって、ネット側を1→2→3、
サービスライン側を7→8→9、その間を4→5→6とし、サービスラインとベースラインの間は、
センターから10→11→12と、それぞれ番号を付加します。
以上のことから、ネットからベースラインに向かってセンターライン側は、1→4→7→10、
サイドライン側は3→6→9→12となります。

〈付則〉

付則1 日本国内ローカル大会におけるコート規格の運用
(関連条項:第1条 コートの規格)

日本国内ローカル大会においては、競技会場等の都合を踏まえ、B2/B3/B4クラスの試合についても
B1クラス用コートの規格を準用しての実施を認める。
また、ダブルス種目についてシングルス用コートの規格を準用しての実施を認める。

なお、JBTF公式トーナメント以外の国内ローカル大会においては、以下に示す日本オリジナルのコート規格(ショートテニスをベースとして設計されたコート規格)で競技が実施される場合がある。
● 日本オリジナルのコート規格(全クラスおよびシングルス/ダブルス共通)
コートのサイズ: 縦13.40m、横6.10m
サービスライン: ネットから4.72m 、ベースラインから1.98m
ネットの高さ: 中央部80cm程度、外縁部85cm程度

付則2 コート外側の領域
(関連条項:第1条 コートの規格)

第1条に規定するコートサイズ以外に、第39条に定める各クラス規定のバウンド数に対して、有効に
返球できるよう、より広いプレー領域を必要とする。
その領域は、プレーヤーならびにボールパーソンの安全を確保するため、ベースラインから後方バック
ストップまでの距離は6.40m以上、サイドラインから外方サイドストップまでの距離3.66m以上が
望ましい。
コート2面以上が並列する場合、コート間の距離は3.66mの2倍、7.32m以上が望ましい。
また、床から天井までの高さはネット中央部分で9m以上が望ましい。

付則3 サーブ時の声掛け
(関連条項:第20条 サービスの方法 b))

日本国内ローカル大会においては、以下の方法を採用することもできる。
サーバーはレシーバーに対し「いきます」などの声を掛け、レシーバーの「はい」の返答を受けた後
5秒以内にサービスを打つ。
このとき、レシーバーはサーバーの掛け声から5秒以内に返答しなければならないが、レシーバーの
準備ができていない場合は、サーバーに対し掛け声のやり直しを要求することができる。

付則4 メディカルルール(ケガ、病気に関するルール)

メディカルタイムアウト(MTO)は、トレーナーまたはドクターがそのトーナメントの全期間を通じて、常駐していることを条件に行なわれる。この条件を満たしていない競技大会では、プレーヤーは審判にMTOを要求後、規定時間内にプレーヤー自身で手当てすることができる。
このとき審判が認めれば、第三者の補助が許される。
手当に費やせる時間は、1試合につき1回(3分間)とし、公式練習中も含まれる。
MTOはトレーナーやプレーヤー自身が、実際に治療にあたる時間とし、診察や衣服等の着脱時間は
含めない。
また、上記MTOとは別にエンド交代時の90秒以内に、最大2回まで手当をすることができる。
尚、疲労および体力消耗でのMTOの要求はできない。

付則5 トイレットブレークと着替え

トイレットブレークは、男女ともに試合中に1回、エンド交代時に取ることができる。
ウォームアップ中のトイレットブレークは、試合中と同じ扱いとなり、1回に数える。
プレーヤーがコートに戻った後、残り時間を使ってウォームアップを再開する。
相手プレーヤーは待っている間、第三者とウォームアップすることはできない。
ウォームアップ開始前のトイレットブレークは自由であるが、試合への遅刻の罰則が適用される。
トイレットブレークを使ってしまった後、必要であれば以後のエンド交代時に限りトイレに行くことは
できるが、90秒以内にプレーを再開しなければならない。再開できない場合は、コードバイオレーション(不当なゲームの遅延)が科せられる。
着替えはエンド交代時、女子のみコートを離れることが許されるが、男子は着替えのためにコートを
離れることはできない。
トイレットブレークの時間は、男女とも理にかなった時間内とする。

付則6 タイムバイオレーション(ゲームの遅延)

プレーヤーはウォームアップ終了後、審判の指示でプレーを開始する。
その後は連続してプレーをし、試合中に不当な遅延をしてはならない。

サーバーは、ボールパーソンからボールを受け取った後、20秒以内にレシーバーに対し、サービスを
行うための声がけをしなければならない。
レシーバーは、サーバーの掛け声から5秒以内に返答をし、サーバーはレシーバーからの返答後、
5秒以内にサーブを打たなければならない。

エンドを交代するとき、主審からゲーム終了のコールがなされてから、次のゲームの第1サービスの
掛け声までの時間は、最長90秒とする。
しかし、第1ゲーム終了後およびタイブレーク・ゲーム中は、連続してプレーするため、プレーヤーは
速やかにエンドを交代しなければならない。
このとき、補水のみであれば可能である。

スローペースのプレー(20秒、90秒ルールの違反)に対しては、タイムバイオレーションが科される。
1回目はウォーニング(警告)、2回目以降は、その度に1ポイントを失う。

尚、サーバーからの掛け声、およびレシーバーからの返答後、それぞれにおいて5秒以上掛かった場合は、お互いのコンタクトが不十分とし、審判からの指示をもって、再度サーバーの掛け声からやり直す。

◎補足 25秒ルールについて。
テニスでは、アウトオブプレーになった瞬間から、次のポイントのサービスまでの時間を25秒と定めています。
しかし、ブラインドテニスにおけるB1クラス、ならびに低視力のプレーヤーはアウトオブプレーに
なった瞬間を把握することは困難であり、主審からコールが あって、はじめて認識できることが
多々あります。
また、ボールパーソンからのボールの受け渡し方など、環境的要因によっても影響があるため、
ブラインドテニスでは、ボールパーソンからボールを受け渡されてから、レシーバーへの掛け声までの
時間を20秒と定めました。

付則7 コードバイオレーション

試合中、違反行為やマナー違反をしたプレーヤーには、ポイントペナルティ制度に従って、
以下のペナルティが科される。

1回目、警告。
2回目、失点(相手に1ポイント加算)。
3回目以降、1ゲームを失う(相手に1ゲーム加算)。
悪質な違反で、レフェリーが失格を決定した場合。

ゲームの遅延(Delay of Game)

1.プレーの継続を拒否の場合。
主審の指示から20秒以内にプレーを開始しない場合、またはタイムバイオレーションを科された
直後に20秒以内にプレーを開始しない場合は、コードバイオレーション(ゲームの遅延)となる。
2.メディカル・タイムアウト終了後に、プレーが再開されない場合。
ケガや筋ケイレンの手当てを完了した後、30秒経ってもプレーを再開しないとき、あるいはトイレへ
行って規定の時間内に戻ってこないとき、あるいは主審がプレーを指示したにも関わらず規定時間内に
プレーをしない場合は、コードバイオレーション(ゲームの遅延)となる。
3.手当てを受けられない症状のために、プレーを継続できない場合。
手当てを受けられない症状により、規定時間内にプレーが開始されない場合は、
コードバイオレーション(ゲームの遅延)となる。
4.規定の時間内に、コートに戻ってこない場合。
コートを離れたが、規定時間内にコートに戻ってこない場合は、コードバイオレーション
(ゲームの遅延)となる。

付則8 その他の試合方式

a) 6ゲーム先取方式
先に6ゲームを先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが5-5になったときは、第11ゲームをタイブレーク・ゲームとする。
b) 4ゲーム先取方式
先に4ゲームを先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが3-3になったときは、第7ゲームをタイブレーク・ゲームとする。
c) ショートセット方式
相手に2ゲーム以上の差をつけて、4ゲームを先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが3-3になったときは、第8ゲームまでスタンダード・ゲームを続け、5ゲームを
先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが4-4になったときは、第9ゲームをタイブレーク・ゲームとする。

◎補足 アドバンテージ方式について
ブラインドテニスでは、デュースになったとき、ノーアドバンテージ方式を基本とするが、テニス同様にアドバンテージ方式を採用することができる。
アドバンテージ方式では、どちらかが2ポイント差をつけるまで、そのゲームは続行され、1ポイント
リードした側をアドバンテージと呼ぶ。次のポイントがリードしている側に入らなければ、再び
デュースとなる。

付則9 クラス併合または男女混合による競技実施
(関連条項:第37条 競技クラスとエントリー条件)

公式競技は視機能の程度により区分されたクラス別かつ男女別に実施されるが、大会によりクラス併合
あるいは男女混合にて実施される場合がある。