ブラインドテニス競技規則2020年度版

ブラインドテニス競技規則2020年度版

第1章 総則

a) ブラインドテニスは、音の出るよう工夫されたスポンジボールを、プレーヤー同士がラケットで打ち合い、ネットの上を行き来させる競技スポーツである。
b) 視覚障がいの程度に応じて競技クラスを区分し、各クラス別に対戦するシングルスと、同じクラスの選手同士でペアを組んでクラス別に対戦するダブルスを公式競技とする。
他に交流を目的とした種目として、視覚障がい者と晴眼者とのペアによるダブルスもある。
c) 本競技規則は 日本ブラインドテニス連盟が制定し、日本発祥のオリジナルなブラインドテニス競技に適用する。
d) 以降の内容を変更して試合を行う場合は、その詳細を大会実施要綱等に必ず明記しなければならない。

第2章 コートと用具

第1条 コートの規格

コートは、シングルス、ダブルス共通とし、以下に記す。
a) コートは平坦な長方形で、そのサイズは横6.1m、縦13.4mとする。
b) コートの縦方向の両端を結ぶ線をベースライン、コートの横方向の両端を結ぶ線をサイドラインと、それぞれ呼ぶ。
c) ネットはサイドライン中央に設置し、ベースラインと平行に張り、コートはネットにより二分される。
d) ラインの幅は50㎜とし、各区画内に含まれる。
e) ネットからベースラインに向かって4.72mのところで、サイドライン間にベースラインと平行に引いた線を、サービスラインと呼ぶ。
f) サービスラインとネットに囲まれた範囲を、センター・サービスラインという線で均等に二分し、サービスコートと呼ぶ。
センター・サービスラインは、両サイドライン中間点でサイドラインと平行に引く。
g) ベースライン中央からネットに向かって10㎝、後方に3m引く線をセンターマークラインと呼び、サイドラインと平行とする。
h) B1プレーヤー(第39条a)参照)が位置を容易に確認できるよう、ベースラインおよびセンターマークラインの全長、ならびにベースライン両端からネットに向かうサイドライン上30㎝で、ラインを突起させる。
突起させる方法として、ラインの下中央部に直径2㎜の紐(例えば凧紐)を通す。
i) 上記コートサイズ以外に、第41条に定める各クラス規定のバウンド数に対して、有効に返球できるよう、より広いプレー領域を必要とする。
その領域は、プレーヤーならびにボールパーソンの安全を確保するため、ベースラインから後方に6m以上、サイドラインから外方へ4m以上が望ましく、天井までの高さについては8m以上が望ましい。

◎補足、コートの仮想位置番号について。
ブラインドテニスでは、サーブならびに返球をした後、相手コートのどの位置にボールが入ったかを明らかにするため、センター・サービスラインから左右をそれぞれ12分割し、コート内に仮想的な番号を付加して説明をします。
はじめにサービスコート内を9等分します。
次にサービスラインからベースラインの間を、センターからサイドに向かって3等分し、合計12分割します。
9等分された部分は、センターラインからサイドラインに向かって、ネット側を1→2→3、サービスライン側を7→8→9、その間を4→5→6とし、サービスラインとベースラインの間は、センターから10→11→12と、それぞれ番号を付加します。
以上のことから、ネットからベースラインに向かってセンターライン側は、1→4→7→10、サイドライン側は3→6→9→12となります。

第2条 ネットポスト(支柱)の規格

a) ショートテニス用あるいはその形状に類似するものとし、第3条にて規定するネットを第4条c.に準じて支えられるものとする。
尚、大会の都合によりB2、B3クラス(第39条参照)においてはバドミントン用の差し込み式支柱の使用を認めるが、B1クラスについては、安全性の立場から原則として使用不可とする。
b) 素材ならびに色については、特に規定しない。
c) ネットポストの高さはネットの高さに合わせ85㎝程度とする。

第3条 ネットの規格

a) 長さは6.1m以上とし、幅は76㎝以上あるものとする。
b) 網目の大きさについては特に規定しないが、ボールが相手コートにすり抜けないものとする。
c) ネット上部は、両面共に幅35.50㎜の白帯を付ける。

◎補足、ネットについて。
現在、幅6.1mの基準を満たすネットは、バドミントン用あるいはショートテニス用で販売されています。
しかし、ショートテニス用のネットは種類が限ら れ、専用のネットポストを必要とする場合もあります。
現在までに各地域で使用されているネットおよびネットポストの状況、ならびにネット購入の容易さから、現状ではバドミントン用の基準を、最低条件としています。

第4条 ネットポストおよびネットの設置基準

a) 左右のネットポストの位置は、サイドライン上もしくはサイドラインの外縁から外側とする。
ただし、台座は必ずラインの外縁より外側に置く。
b) ネットの両端とネットポストの間は最小限とし、ボールが通過してはならない。
c) ネットの高さは、サイドライン外縁で85㎝程度、中央で80㎝程度とする。

◎補足、設置基準について。
各地域で使用されている移動式ネットポストは、メーカーにより若干規格が異なり、厳格な規定を設けると使用できない場合があります。
現状ではテニスのように明確な基準を設けることは困難と判断し、上記の通りとしています。

第5条 パーマネント・フィクスチュア

コートのパーマネント・フィクスチュアとは、バックストップ、サイドストップ、観客、観客用のスタンドやシート、コートの回りや上部にあるすべての施設や設備、定められた位置にいる各アンパイア、ボールパーソンのことをいう。ただし、ネットは含まれない。

◎補足、ブラインドテニスでは、テニスとは異なり、ネットポストを支えるのに主に台座を使用します。この台座もパーマネント・フィクスチュアと見なします。

第6条 ボール

日本ブラインドテニス連盟公認球を使用し、色は黄または黒とする。

第7条 ラケット

a) 全長58.5㎝(23インチ)以下の硬式テニスラケット、もしくはそれに類似するテニスラケットとする。
b) ラケットの材質、およびフェイス面積についての制限はない。
c) ラケットに使用するストリング(ガット)については、材質および種類に制限はない。

第8条 服装とシューズ

a) プレーヤーは、清潔でプレーに相応しいと認められた、スポーツウェアを着用しなければならない。
大会によっては開催要項に明記して、服装の形や色を規制する場合がある。
ウェアの適否はレフェリー(ルールの法的問題に関する最終決定者)によって最終判断され、必要に応じて服装または用具の交換の指示を受ける。

◎着用できない服装
テニスに不適切な柄のTシャツ、ランニングシャツ、ランニングパンツ、ジーンズ、水着、その他の不適切と判断されたウェアは、ウォームアップ中でも着用はできない。

b) 肘や膝に装着するサポーターについては、特に制限はない。
c) シューズはテニスシューズとして販売されているもののほか、紐で足を固定できるものとし、素材については特に制限はないが、床を傷つけないものとする。

第9条 アイマスクとアイシェード

B1クラス(第39条a)参照)に該当する選手は、アイマスクまたはアイシェードの着用が義務付けられる。

a) アイマスクおよびアイシェードは、100%遮光性のある既製品とし、装着したときに隙間が生じるなど、固定が不十分なものは使用してはならない。
b) アイマスクの柄は無地とし、色については規定しない。
c) アイマスクおよびアイシェードは、競技領域に入り次第、直ちに着用し、試合が終了するまで、審判の許可無く勝手に外してはならない。

第3章 試合規則

第10条 試合形式

一人対一人で対戦する試合をシングルスとし、二人一組となり、二人対二人で行う試合をダブルスとする。

第11条 試合の開始

プレーヤーが各自のポジションにつき、主審からのコールにより試合が開始される。

第12条 試合の勝敗

本競技において、基本となる試合方式を“6ゲームマッチ”とし、以下に記す。
その他の試合方式については、付則5を参照。

a) 相手に2ゲーム以上の差をつけて、6ゲームを先取した側が勝者となる。
b) ゲームカウントが5-5になったときは、第12ゲームまでスタンダード・ゲームを続け、7ゲームを先取した側が勝者となる。
c) ゲームカウントが6-6になった場合は、第13ゲーム目をタイブレーク・ゲームとする。

第13条 スタンダード・ゲーム

a) スタンダード・ゲームは、4ポイント先取にて行う。
b) スタンダード・ゲームでは、以下のように得点を数え、サーバーの得点が先にアナウンスされる。

0ポイント: 0 「ラブ」
1ポイント: 15 「フィフティーン」
2ポイント: 30 「サーティー」
3ポイント: 40 「フォーティー」
4ポイント: ゲーム

c) 双方が3ポイントずつ取った“40-40”をデュースと言う。
d) デュースとなった場合は、ノーアドバンテージ方式を採用する。
このとき、レシーバーがレシーブサイドを選択する事ができる。(レシーバーズ・チョイスを採用する。)

◎補足、ノーアドバンテージ方式について。
ノーアドバンテージ方式では、デュースになったとき、その後に1ポイント(ディサイディング・ポイント)を得た側が、そのゲームの勝者となる。

第14条 タイブレーク・ゲーム

a) タイブレーク・ゲームは7ポイント先取とし、ポイントが6ー6となったときは、その後2ポイント差がつくまで行う。
b) タイブレーク・ゲームでは、0「ゼロ」、1「ワン」、2「ツー」、3「スリー」…と数え、大きい数字→小さい数字→リードしている選手名の順にアナウンスされる。
c) タイブレーク・ゲームにおいて、ディサイディング・ポイントを設ける場合は、スタンダード・ゲームのデュース同様、レシーバーズ・チョイスを採用する。

第15条 サーバーおよびレシーバー

対戦するプレーヤー同士は、互いにネットを挟んで向かい合って立ち、最初にボールを打つプレーヤーをサーバーといい、そのボールを返球しようとするプレーヤーをレシーバーという。

第16条 エンド(コート)とサービスの選択

対戦するプレーヤーはウォームアップ前にトス(ジャンケン等)を行い、トスの勝者は以下の1つを選択することができる。

a) 第1ゲームでサーバーになるか、レシーバーになるかを選択する。 このとき、トスの敗者はエンドを選択する。
b) 第1ゲームのエンドを選択する。 このとき、トスの敗者はサーバーかレシーバーかを選択する。
c) トスの敗者に、上記のどちらかを先に選択させる。

第16条 エンド(コート)とサービスの選択

対戦するプレーヤーはウォームアップ前にトス(ジャンケン等)を行い、トスの勝者は以下の1つを選択することができる。

a) 第1ゲームでサーバーになるか、レシーバーになるかを選択する。
このとき、トスの敗者はエンドを選択する。
b) 第1ゲームのエンドを選択する。
このとき、トスの敗者はサーバーかレシーバーかを選択する。
c) トスの敗者に、上記のどちらかを先に選択させる。

第17条 エンド(コート)の交代

a) エンドの交代は、奇数ゲーム終了後に行う。
b) タイブレーク・ゲームにおいては、総得点が6の倍数にて行う。

第18条 ボールインプレー

サーブにより、ラケットからボールが離れた瞬間をもってインプレーとなる。
フォールトまたはレットがコールされない限り、サービスが打たれた瞬間からポイントが決まるまで、ボールはインプレーとなる。

第19条 ラインに触れたボール

コート上のラインに触れたボールは、正しく入ったものとみなされる。

第20条 パーマネント・フィクスチュアに触れたボール

a) インプレーのボールが、1バウンドする前に直接パーマネント・フィクスチュアに触れた場合は、そのボールを打ったプレーヤーの失点となる。
b) インプレーのボールが、1バウンド目で正しくコート内で弾み、その後各クラス規定の有効最多バウンド数を超える前にパーマネント・フィクスチュアに触れた場合は、そのボールを打ったプレーヤーの得点となる。

ケース1: B1クラスの試合において、2バウンドしたボールがボールパーソンに触れてしまった。これはどちらの得点となるか。
答え: ボールパーソンは、パーマネント・フィクスチュアに含まれるため、打ったプレーヤーの得点となる。

◎補足、コート外のプレー領域は、第1条i)を、ボールパーソンの待機位置は、第49条a)を前提としており、これに該当しない場合は、第30条 インプレーにおけるレット(やり直し)b)を適用し、主審の判断により決定する。

第21条 サービスの順序

シングルスにおけるサービスの順序を以下に記す。

a) スタンダード・ゲームでサービスをする場合、サーバーは右コート、左コートの順で行う。 各ゲームとも右コートからサービスを始める。
b) スタンダード・ゲームでは、各ゲームが終了後、そのゲームのレシーバーが次のゲームではサーバーとなり、サーバーはレシーバーとなる。
c) タイブレーク・ゲームでは、1ポイント目を第1ゲームのサーバーが右サイドから行い、以後は相手側から左サイド、右サイドの順で2ポイントずつサービスを行う。

タイブレーク・ゲームでのサーブ順は、以下の通りとなる。

1本目: 第1ゲームのサーバーが”右サイド”からサーブ
2本目: 第2ゲームのサーバーが”左サイド”からサーブ
3本目: 第2ゲームのサーバーが”右サイド”からサーブ
4本目: 第1ゲームのサーバーが”左サイド”からサーブ
5本目: 第1ゲームのサーバーが”右サイド”からサーブ
6本目: 第2ゲームのサーバーが”左サイド”からサーブ
7本目: 第2ゲームのサーバーが”右サイド”からサーブ
8本目: 第1ゲームのサーバーが”左サイド”からサーブ
9本目: 第1ゲームのサーバーが”右サイド”からサーブ

以後、上記の順にて行う。

第22条 サービスの方法

a) サーバーは、ベースライン後方で、センターマークラインとサイドライン、それぞれの仮想延長線で挟まれたサービスエリアから、ネットに向かって立つ。
このとき、サーバーの両足はサービスエリア内に入っていなければならない。
b) サーバーはサーブを打つ前に、レシーバーに対し「いきます」などの声を掛け、レシーバーの「はい」の返答を受けた後、5秒以内にサーブを打たなければならない。
このとき、レシーバーはサーバーの掛け声から5秒以内に返答しなければならないが、レシーバーの準備ができていない場合は、サーバーに対し掛け声のやり直しを要求することができる。
c) サーバーは、相手にかけ声をかけた立ち位置で、サーブをしなければならない。
d) サーブは、手でボールを放ち、そのボールが1バウンドするまでに、ラケットで打つものとする。
ボールが手から離れてから、ボールを打つ意思を示さず、手で捕球するか、床に落とした場合は、サーブのやり直しができる。ただし、空振りは認めない。
e) 1回のサーブで、ラケットを振ることができるのは1回とする。
f) サーブは、ラケットがボールに触れたとき、あるいは空振りしたときに、完了したものとする。
g) サーブは、右サービスエリアから行い、ポイント決定後、左サービスエリアから行う。
以後ポイント決定ごとに、左右交互に行う。
h) サーブは、自身のサービスエリアから、対角方向にある相手のサービスコート内に打たなければならない。
i) サーブされたボールは、ネットを越えて対角方向のサービスコート内で1バウンドしなければならず、ネットを超える前に自身のコート内でバウンドしてはならない。
尚、1バウンド目で正しくサービスコート内に入ったボールは、それ以降コート内外を問わない。

◎補足、正しく相手のサービスコート内で1バウンドしたボールが、バックスピン等でネットを超えて、打った側のコートに戻った場合も、有効なサービスである。
相手側選手に各クラス規定の有効最多バウンド数(第41条参照)の返球機会が与えられていたかは関係しない。

j) 片手しか使えないプレーヤーは、ボールをほうり投げるために、ラケットを使っ
てもよい。

第23条 フット・フォールト

サーバーは、相手に声をかけてからサーブが完了するまでの間、以下のいずれかに違反した場合、フット・フォールトとなる。

a) レシーバーへの掛け声の後、立っている位置を明らかに変えて、サービスをしたとき。 足を少し動かすぐらいは構わない。

◎補足、サーバーから掛け声が発せられた立ち位置は、相手選手が見えない、あるいは見えにくいレシーバーにとっては、重要な情報になります。
また、サーバーからの掛け声は、レシーバーに対しサーブを打つ準備が整い、サーブを打つことを相手に伝える事を目的としています。
以上のことから、ブラインドテニスでは、掛け声の後、立ち位置を変更した場合は“フット・フォールト”の対象となります。

b) 歩いたり走ったり、助走しながらサービスをしたとき。
c) どちらかの足が、ベースラインまたはその内側のコートを踏んだとき。
d) どちらかの足が、サイドラインの仮想延長線外側の床面に触れたとき。
e) どちらかの足が、センターマークラインまたはその仮想延長線を踏んだとき。

第24条 サービス・フォールト

下記の場合はサービス・フォールトとなる。

a) 第22条、第23条に違反したとき。
b) サービスのボールを空振りしたとき。
c) 相手からの返答後、サーブ動作に入る前にボールにラケットを当てたとき。
d) ボールを持ったまま、ラケットでボールを押し出したサーブ。
◎補足、押し出したサーブは、打球音が無く、サーバーの動きが見えない、あるいは見えにくいレシーバーには、明らかに不利になります。そのためブラインドテニスでは、特に厳格なジャッジが求められます。
e) スイング中に故意にボールに2度当てた場合(故意にダブルヒットしたサーブ)
f) サーブされたボールが、サーバー自身に直接当たるか、あるいは着衣・持ち物に触れたとき。
g) サーブされたボールが、相手サービスコート内で1バウンドする前に、ネットポストあるいはパーマネント・フィクスチュアに触れたとき。
h) サーブされたボールが、相手サービスコートに入らなかったとき。
i) 両足がサービスコート外に位置する相手プレーヤーに、直接サーブしたボールが当たったとき。

第25条 第2サービス(セカンドサービス)

第1サービスがフォールトであれば、そのサービスが誤ったコートから打たれたので
はない限り、フォールトした同じ側のコートから、速やかに第2サービスを打つ。

第26条 サービスのレット(やり直し)

次のサーブはレットとし、サーバーはそのサーブをやり直すものとする。
サービスレットの場合、そのサーブはしたことにはならず、サーバーはもう1度そのサーブをやり直すことができるが、そのサーブがセカンドサービスの場合、1つ前のフォールトを取り消すことはない。

a) サーブしたボールがネットに触れた後、対角方向にある相手側のサービスコートに入ったとき。
b) 相手プレーヤーからの返答がないうちに、サーブが行われたとき。
c) レシーバーからの返答、または返答後のサーブが極端に遅いとき、あるいはお互いのタイミングが合わない場合は、審判の判断にてレットとする。

第27条 レシーブの方法

レシーバーはサーブされたボールを、第41条に規定された有効バウンド数で、返球しなければならない。

第28条 プレーヤーの失点

下記の場合、プレーヤーは失点する。

a) 2回続けてフォールトをしたとき。
b) インプレーのボールを、各クラス規定の有効バウンド数(第41条参照)で、返球できなかったとき。
c) 返球したボールが、入れるべきコートの外の床面に着地、または着地する前に直接パーマネント・フィクスチュアに当たったとき。
d) サーブされたボールを、レシーバーがバウンドする前に返球したとき。
サーブされたボールは、必ず1バウンドした後に返球しなくてはならない。
e) インプレーのボールを、ラケットで故意に運んだり、その他の手段でボールを止めたとき。
f) 返球する際、2度以上のスウィングで、スウィング毎にボールがラケットに触れたとき。ただし、1回のスウィング中に2度当たって返球されたボール(ダブルヒット)は有効とする。
g) インプレー中に、プレーヤーのラケット、身体、着衣を含む持ち物が、ネットおよびネットポスト、または相手コートに触れたとき。
このとき、ラケットなどの持ち物が、身体に接していたか否かは関係しない。
h) ボールがネットを越して来る前に打ったとき。
i) インプレーのボールが、コート内にいるプレーヤー(ラケットを持つ側の手首から先は含めない)、またはそのプレーヤーが手に持っているラケット以外の着衣、もしくは持ち物に当たったとき。ただし、両足がコート外に位置するプレーヤーに、ノーバウンドで当たった場合は相手側の失点となる。
j) プレーヤーの手から離れたラケットに、インプレーのボールが当たったとき。
k) インプレー中、大きな声や音を出し、故意に相手プレーヤーのプレーを妨害したと判断された場合。
l) インプレー中、故意に著しくラケットの形を変えたとき。
m) インプレー中、アイマスクまたはアイシェードが外れたとき。

第29条 インプレーにおける有効な返球

a) 打ち返したボールが、ネットまたはネットポストに触れ、正しく相手側コートに入ったとき。
b) 相手が打ったボールが、1バウンド目で正しくコート内で弾み、バックスピン等でその後ネットに触れたが、各クラス規定の有効バウンド数(第41条参照)で、ネットに触れず相手側コート内に返球したとき。
返球時、身体の一部(着衣およびラケットを含む)が、誤ってネットに触れた場合はネットタッチとなり、触れた選手の失点となる。
c) 返球したボールが、1バウンド目で正しく相手コート内で弾み、そのボールがバックスピン等でネットを超えて返球した側のコートに戻ったとき。
各クラス規定の有効最多バウンド数(第41条参照)に達してなくても、バックスピン等でネットを超えたボールが、打った側のコートで弾んだ時点で得点となる。
この場合、相手選手は、戻ろうとしたボールを打ち返した位置が、ネットを超えていても有効な返球となる。
d) ボールが、ネットポストの外側を飛び、相手コート内に入ったとき。
e) ボールが、コート内に落ちている他のボール、衣服、持ち物等に当たっても、これを相手側コートに正しく返球したとき。
f) ボールが、ラケットを持つ側の手首より先に当たっても、これを相手側コートに正しく返球したとき。

第30条 インプレーにおけるレット(やり直し)

インプレーにおいて、以下の様な事項でプレーが中断したときは、そのポイントを有効とせず、そのポイントの最初からやり直す。(ファーストサーブからやり直す)

a) 審判が判定を誤ったため、プレーに支障が生じたとき。
b) プレーヤーが不可抗力によって、そのプレーを妨げられたとき。
ただし、プレーヤーからのアピールがあった場合に限り、主審の判断により決定する

例: 施設内の扉の開閉音、近隣コートのプレーヤーの声等。
c) インプレーのボール以外が、コート内に入ってきたとき。

◎補足、セカンドサービスにおけるレットについて。
テニス同様、セカンドサービスでは、サービスモーションに入って以降にボールがコート内に入って来たときは、ファーストサービスからやり直すが、ブラインドテニスでは、「いきます」「はい」の声掛けの後であっても、サービスモーションに入る前であれば、改めて声掛けをし、セカンドサービスを行なう。

d) インプレー中ボールが破損し、競技ボールとして使用できないとき。ただし、ボール表面の僅かな亀裂、ならびに音の変化が軽度で、バウンドに支障がなければ、ポイントが決まるまで使用する。

第31条 ダブルス試合

視覚障がい者同士でペアを組むダブルス試合について以下に記す。

a) ペアは、トスにてサーブとエンドが決定した後、サーブ順とレシーブサイドを審判に申告し、試合終了まで変えてはならない。
b) サービスは、ペアで第1サーバーと第2サーバーを定め、その順で行う。
スタンダード・ゲーム
第1ゲーム:トスでサーブ権を取得したペアの第1サーバーが、このゲーム終了まで行う。
第2ゲーム:相手ペアの第1サーバーが、このゲーム終了まで行う。
第3ゲーム:トスでサーブ権を取得したペアの第2サーバーが、このゲーム終了まで行う。
第4ゲーム:相手ペアの第2サーバーが、このゲーム終了まで行う。
以後、上記の順で進める。

タイブレーク・ゲーム
1本目:第1ゲームのサーバーが、右サイドからサーブ。
2本目:第2ゲームのサーバーが、左サイドからサーブ。
3本目:第2ゲームのサーバーが、右サイドからサーブ。
4本目:第3ゲームのサーバーが、左サイドからサーブ。
5本目:第3ゲームのサーバーが、右サイドからサーブ。
6本目:第4ゲームのサーバーが、左サイドからサーブ。
7本目:第4ゲームのサーバーが、右サイドからサーブ。
8本目:第1ゲームのサーバーが、左サイドからサーブ。
以後、上記の順で進める。
c) レシーブは、右サイドに入るプレーヤーは、左サイドでサーブを受けることはできない。左サイドに入るプレーヤーは、右サイドでサーブを受けることはできない。
なお、ラリー中はサイドを問わず自由に返球できる。
d) レシーバーがサービスを返球したあとは、ペアのどちらのプレーヤーがボールを打ってもよい。
e) パートナー間での適正な声の掛け合いは可とする。
f) ラリー中、ペアのいずれかが意図的にプレーに参加していないと審判が判断した場合、一度目は警告、二度目は失点とする。
(付則4 コードバイオレーション参照)

第32条 その他のルール

a) インプレー前、プレーヤーは審判およびボールパーソンに、所定の位置を確認することができる。
b) アウトオブプレーになった後、プレーヤーは審判にフォールトおよびアウトに関する確認をすることができる。
c) 近隣コートの影響で、プレーヤーがプレーに支障があると判断した場合、プレーヤーは主審にその旨を伝える事ができる。
d) 第39条に定めるB2およびB3クラスにおいて、ボールの色の選択権はサーバーが有する。ただし、同一ゲーム中は選択したボールの色を変更することはできない。
e) 試合中のラケット交換はゲーム終了後とし、その旨を主審に伝え、主審から相手プレーヤーに伝える。
ただし、ラケット破損やストリング(ガット)が切れるなど、急を要する場合は以下の通りとなる。
1) ラケットの破損、あるいはストリングが切れている場合、新しいポイントをプレーすることはできない。
ラリー中にラケットが破損、あるいはストリングが切れた場合、ポイントが終わるまでプレーを続ける。
2) サービスを打ったとき、サーバーのラケットのストリングが切れた場合、そのサービスがフォールトの場合は、引き続き第2サービスを打っても、あるいはラケットを交換してから第2サービスを打っても構わない。
3) 第1サービスのフォールトのボールを、反射的に打ち返したときに、レシーバーのラケットが破損、またはストリングが切れた場合、レシーバーはラケットを交換しなければならない。 このとき、第1サービスからやり直す。
f) プレーヤーは、メディカル・タイムアウト(MTO)、およびトイレットブレークをとることができる。
MTOに関しては“付則1 メディカルルール(ケガ、病気に関するルール)”を参照。
トイレットブレークに関しては“付則2 トイレットブレークと着替え”を参照。

第33条 誤りの訂正

ブラインドテニス規則に関わる誤りが発見されたときは、誤りに気づくまでに行われたポイントは、原則としてすべて有効とし、下記に従ってその誤りを訂正する。

a) スタンダード・ゲーム、タイブレーク・ゲームにおいて、サーバーが誤ったサイドからサーブするのが発見されたときは、ただちに誤りを訂正し、スコアに応じた正しいサイドからサーブする。誤りが発見される前にフォールトしたサービスは成立する。
b) スタンダード・ゲーム、タイブレーク・ゲームにおいて、プレーヤーが誤ったエンドにいることが発見されたときは、直ちに誤りを訂正し、スコアに応じた正しいエンドからサーブをする。
c) スタンダード・ゲーム中、サーバーの順番が間違っていたことに気づいたときは、気づき次第、本来のサーバーに代わる。しかし、気づいたとき、すでにゲームが終了していた場合は、入れ替わったままの順番で続ける。
間違いに気づいたとき、相手がすでに打っていたフォールトは取り消す。
ダブルスで、パートナー同士のサービスの順番が間違っていた場合は、誤りに気づく前に打たれていたフォールトは取り消されない。
d) タイブレーク・ゲーム中、サービスの順番が間違っていることに気づいたとき、偶数ポイントが終わった後で気づいた場合は、ただちに正しい順番に戻し、奇数ポイントが終わったときに気づいた場合は、入れ代わったままでプレーを続ける。誤りに気づく前に打たれたサービスのフォールトを取り消す。
ダブルスで、パートナー同士のサービスの順番が間違っていた場合は、誤りに気づく前に打たれていたフォールトは取り消されない。
e) スタンダード・ゲームまたはタイブレーク・ゲームのダブルスにおいて・パートナー同士のレシーブの隊形が入れ替わっていることに気づいたときは、そのゲームだけは間違ったままでプレーを続け、そのチームが次にレシーブする順番のゲームになったときに本来の隊形に戻す。
f) 6ゲームオールになったとき、第13ゲームをタイブレーク・ゲームではなく、誤ってスタンダード・ゲームでプレーした場合は、以下の通りとなる。
最初の1ポイントだけをプレーしたのであれば、直ちにタイブレーク・ゲームに戻す。
第2ポイントがインプレーになった後で気づいた場合は、そのゲームはスタンダード・ゲームでプレーを続ける。
その後、第14ゲームまでスタンダード・ゲームとし、第15ゲームをタイブレーク・ゲームとする。
第13ゲームがスタンダード・ゲームとなった段階で、6ゲームマッチから7ゲームマッチに変更となる。

第34条 妨害

インプレー中、相手が故意に、そのプレーを妨害したと主審が判断した場合は、相手の失点となる。
しかし、故意ではなく無意識なプレーで、結果として妨げてし まった場合、あるいはプレーヤーに責任のない、何かの物体によってプレーが妨げられた場合は、レットとしポイントのやり直しとなる。

第35条 コーチング

耳に聞こえるものであろうと、目に見えるものであろうと、また、どのような形であろうと、審判・ボールパーソン以外からのプレーヤーに対する情報伝達・助言・指図等は、すべてコーチングとみなす。
コーチングとみなされた場合は、審判より該当者に注意が言い渡される。
以後も行為が続いた場合は、該当試合を直ちに終了し、該当者は敗者となり退場処分となる。

第36条 プレーヤーのマナー

同 一会場内で、複数のコートを設置して試合が行われている場合は、他のコートのプレーヤーに影響を与えないために、各プレーヤーは大きな音や声を出さないよう、心がけなくてはならない。
他のプレーヤーに影響を与える行為が見受けられた場合は、該当コートの審判、あるいは他のコートの審判より注意を受ける。
その後も継続して他のコートに影響を与える行為が続いた場合は、該当試合を直ちに終了し、該当者は敗者となり退場処分となる。

第37条 プレーヤーの失格

a) 第34条、第35条、第36条に違反したとき。
b) 主審が該当試合に到着し、ウォームアップ時間を含め10分を経過しても、プレーヤーが現れなかったとき、あるいは試合ができる状態にないとき。不戦敗となる。
c) 主審の指示に従わなかったとき。
d) トイレットブレークおよびメディカル・タイムアウトにおいて、理にかなった時間を経過しても、試合に再開できなかったとき。
主審あるいは、大会責任者などの判断による。
e) トイレットブレークおよびメディカル・タイムアウトを、規定数より多くとったとき。

第38条 盲導犬

盲導犬の待機場所は大会主催者が認めた場所とし、競技区画内への立ち入りは禁ずる。
待機中の盲導犬により大会運営に支障が出た場合(吠えたり、うなったりなど)、審判にその旨を伝え許可を得た後、速やかに大会スタッフと移動し対応する。
1度目は警告とし、2度目はその試合が終了するまで盲導犬を別室待機させる。

第4章 競技クラスと有効バウンド数

第39条 競技クラスとエントリー条件

視機能の程度により、以下の通りクラスを設け、男女別とする。
ただし、大会によりクラスの併合あるいは男女混合にて、開催される場合がある。

a) B1クラス
視力が0から手動弁とする。
アイマスクまたはアイシェードの着用を義務付ける。
b) B2クラス
視力が指数弁から0.03以下、あるいは視野5度以内(視力の制限はない)とし、いずれかの条件を満たしていることとする。
c) B3クラス
視力が0.1以下、あるいは視野20度以内(視力の制限はない)とし、いずれかの条件を満たしていることとする。
更に当面は、身体障害者手帳を有する、その他の視覚障がい者も、B3クラスに含める。

◎補足1、クラス分けの基準について。
国際的に開催される視覚障がい者スポーツ大会では、国際視覚障害者スポーツ連盟(IBSA)が定めた基準を採用しています。
本競技では、IBSAの基準を参考に一部を変更し、上記の通りと致しました。
尚、視機能分類では、良い方の視力あるいは視野を優先します。

◎補足2、エントリー条件について。
B1クラスは他の競技クラスの者も、アイマスクまたはアイシェードを着用して出場することができる。
また、希望すれば視機能分類の上位クラスへの出場も可とする。

◎補足3、視野の測定方法。
視野の測定基準については、ゴールドマン視野計Ⅲ/4eおよび自動視野計又は、これらに準ずるものを用いる。

第40条 ダブルスにおける競技クラス

視覚障がい者同士でペアを組むダブルスにおいては、第39条に定めるクラス分けに基づき、同一クラスのプレーヤー同士でペアを組み、男子ペア・女子ペア・男女混合ペアの別にて対戦する。
ただし、大会により男女共通あるいは別クラスと併合して開催される場合もある。
別クラスと併合して実施する場合は、プレーヤー別に各々のクラス分類の有効バウンド数(第41条参照)を適用することが望ましい。

◎補足、視覚障がい者と晴眼者のダブルスについて
交流を目的として、視覚障がい者と晴眼者がペアになり対戦する種目もある。
この場合、ラリーはペア交互とし、サーブを含めて同一選手が続けて打つことはできない。その他のルールは、大会により規定される。

第41条 有効バウンド数

クラスに応じて、返球できる有効バウンド数が異なる。 尚、1バウンド目で正しくコート内に入ったボールは、各クラス規定の有効最多バウンド数を超えていなくても、ボールがパーマネント・フィクスチュアに触れた時点で、打った側の得点となる。

a) B1ならびにB2クラス(第39条参照)は、3バウンドまでの打球を有効とし、4バウンドした時点でレシーバーの失点が確定する。
尚、1バウンド目で正しくコート内に入ったボールは、それ以降コート内外を問わない。
b) B3クラス(第39条参照)は、2バウンドまでの打球を有効とし、3バウンドした時点でレシーバーの失点が確定する。
尚、1バウンド目で正しくコート内に入ったボールは、それ以降コート内外を問わない。

第5章 審判の任務と権限

第42条 審判の構成

主審、副審、各1名ずつにて構成され、大会運営の都合に合わせて、線審を置く事ができる。

第43条 主審の任務

a) 試合の勝敗の決定をする。
b) 試合中でのゲームカウントおよびポイントの管理を行う。
c) 試合中でのプレーヤーのポジションが、適切かどうかを管理する。
d) 試合中でのゲームカウントおよびポイントを、プレーヤーにコールをする。
e) 試合中でのアウトやレットなどを、プレーヤーにコールをする。
f) サーブやレシーブなど、適切でない順序、位置でのプレーを発見したときは、プレーヤーを適切な順序、位置に戻し、プレーを再開 させる。
g) 担当ラインについて、ボールの落下地点をチェックする。
h) 試合中に、プレーヤーが規定バウンド数以内で打球したか否かをチェックする。
i) 各サーブにおけるレットについて、ボールがネットに触れているか否かをチェックする。
j) プレーヤーのラケット、身体、持ち物が、ネットに触れているか否かをチェックする。
k) プレーヤーが、オーバーネットをしているか否かをチェックする。
l) その他試合に関わるプレーについて、全てを管理する。
B1クラスにおいては、アイマスクまたはアイシェードの着用を確認する。

第44条 主審の権限

a) 試合の勝敗の決定を行なうことができる。
b) 試合中のプレーについて、有効、無効の判定を決定できる。
c) 試合中の適切でない順序、位置について、正しい順序、位置に戻るようにプレーヤーに指示できる。
d) 主審の判定について、従わないプレーヤーに注意をし、それでもなお従わないプレーヤーについては、退場させる権限をもつ。
退場となったプレーヤーは、その試合では敗者となる。
e) その他、試合に関わる全ての判定を決定できる。

第45条 副審の任務

a) 担当ラインについて、ボールの落下地点をチェックし、ボールがラインの外側に出ている場合(有効でない場合)は、主審に合図する。
b) 試合中にプレーヤーが、規定バウンド数以内で打球したか否かをチェックし、規定バウンド数以上の場合は主審に合図する。
c) 副審の任務は、主審の判定への情報提供であり、副審の判定でプレーが決定することはない。
d) 得点板を用いて試合の得失ゲーム数や、得失ポイント数を表示する場合、試合進行に合わせて得点板を更新する。

第46条 審判の担当ライン

a) 主審は、コート全体のラインを担当する。
b) 副審は、サーブ時のサービスラインと副審側サイドライン、ラリー中はベースラインと副審側サイドラインを担当する。

第6章 コール

第47条 試合中のコール

アウト「Out」
打球がコート外に着地したとき、あるいは競技規則に定める“不正なプレー”を行ったとき。
フォールト「Fault」
サーブされたボールが、所定のサービスコートに入らなかったとき。
ネットを越えず、自分のコートにボールが落ちたときもコールする。
ダブル・フォールト「Double Fault」
フォールトを2度行ったとき。
フット・フォールト「Foot Fault」
第24条に違反したとき。サーブを打った瞬間にコールする。
レット「Let」
主審が、サービスおよびプレーをやり直すと判断したとき。
ネット「Net」
サーブならびに返球されたボールが、ネットに触れた後、相手コートに正しく入らなかったとき。
ネット・イン「Net In」
サーブされたボールがネットに触れて、相手サービスコートに正しく入ったとき。返球されたボールがネット・インした場合は、コールしてはならない。
ネット・イン「Net In」の代わりに、レット「Let」をコールしてもよい。
ファーストサービスでネット・インしたときは、「ネット・イン ファーストサービス」、あるいは「レット ファーストサービス」とコールする。
タッチ「Touch」
ボールが身体に触れたとき。
持ち物を相手コートに落としたとき。
ラケットや身体がネットに触れたとき。
ボールがラケットにかすったとき。
ノットアップ「Not Up」
打たれたボールが、規定バウンド数を超えてバウンドしたとき、あるいは打ったとき。
プレーヤーが有効バウンド数以内で空振りをし、その後返球ができないと判断したとしても、その場ではコールせず、有効バウンド数を超えた後にコールする。
ポイント(名前)「Point “NAME”」
ポイントが確定したとき、ポイントを取得した側の名前をコールする。
ブラインドテニスにおいては、どちらのプレーヤーがポイントを取得したか、わからない場合があるため、アウト、ネットなどのコールの後に、必ずポイントを取得した側の名前をコールする。
ただし、返球で打ち損じ、自分のコート内にボールが落ちたときのコールは設けていないため、そのまま“ポイント(名前)”でコールする。
例: アウト ポイントA
ネット ポイントB
ファウルショット「Foul Shot」
故意に2度打ちしたとき。
ボールがネットを越してくる前に打ったとき。
ウェイト プリーズ「Wait Please」
何らかの不都合が起こり、サーブを打つのを待つよう知らせるとき。
ワンモアー「One More」
サーバーからの掛け声と、レシーバーからの返答で、お互いがコンタクト出来なかった場合、再度サーバーに掛け声を掛けるよう指示するとき。
一度「レット」をコールし、「ワンモアー」のコールが望ましい。
例: レット ワンモアー
プレー「Play」
中断しているプレーを再開するとき。
コレクション「Correction」
フォールトまたはアウトを、インに訂正するとき。
ヒンダランス「Hindrance」
プレーヤーが“故意に相手を妨害”したとき。(失点)
プレーヤーが“無意識に相手を妨害”したとき。(レット)
ディサイディング・ポイント「Deciding Point」
次の1ポイントで、そのゲームの勝敗が決まるとき。
レシーバーズ・チョイス「Receiver’s Choice」
ディサイディング・ポイントを迎え、レシーバーに右サイドか左サイドかを選択させ
るとき。
例: デュース ディサイディング・ポイント レシーバーズチョイス。
チェンジ サービス「Change Service」
サービスが相手側に変更となったとき。
チェンジ エンド「Change End」
奇数ゲームが終了した後に、コート変更を促すとき。
「補足的説明」
フォールトやアウトになったとき、プレーヤーからボールがどの位置に落ちたかを尋ねられる場合があります。その場合、以下の表を基に「○番、外にボール○個」と言ったように伝えてください。

◎補足、補足説明について。
距離の目安は、主審の感覚でお伝えください。
プレーヤーには、距離の雰囲気が伝われば問題ありません。

フォールトの例: 6番、外にボール3個(または30cm)。
9番、外に1m。
7番、逆コートにボール2個(20cm)。

アウトの例: アドサイド12番、ベースラインから奥に50㎝。
デュースサイド9番、外に30㎝。

第48条 ポイントのコール

a) 「ラブ、フィフティーン、サーティー、フォーティー」
スタンダード・ゲームにおけるポイント。サーバー側からコールする。
b) 「ゼロ・ワン・ツー・スリー・・・」
タイブレーク・ゲームでのポイント。
大きい数字→小さい数字→リードしている選手名の順に、アナウンスする。
c) 「オール」
スタンダード・ゲームにおいて同点のときは、15-15「フィフティーン・オール」、30-30「サーティー・オール」とコールする。
40-40の場合に限り「デュース」とコールする。
タイブレーク・ゲームにおいて同点のときは、1-1「ワンオール」、2-2「ツーオール」・・・とコールする。

第7章 ボールパーソン

第49条 ボールパーソンの待機位置と役割

ボールパーソンは、試合を円滑に進めるため、以下の事を行う。

a) プレー領域の最後方に待機し、バックゾーンのボールを拾う。
待機中、担当プレーヤーの邪魔にならないよう注意する。
b) サーバーにボールを渡す。
担当プレーヤーに一度声を掛けた後、直接手渡しをするか、ゆっくりとしたスピードでボールを転がす。
c) チェンジエンド(反対側コートへの移動)の際、プレーヤーの誘導を行う。
誘導する際は、プレーヤーにボールパーソンの肩あるいは肘を持たせ、ボールパーソンが先を歩く。
このとき、補水を行うかを担当プレーヤーに確認する。

第50条 ボールパーソンのマナー

a) 待機中は、声や物音を立ててはならない。
b) ボールパーソン間でのボール交換は、プレーが中断しているときに行う。

付則

付則1 メディカルルール(ケガ、病気に関するルール)

メディカルタイムアウト(MTO)は、トレーナーまたはドクターがそのトーナメントの全期間を通じて、常駐していることを条件に行なわれる。この条件を満たしていない競技大会では、プレーヤーは審判にMTOを要求後、規定時間内にプレーヤー自身で手当てすることができる。
このとき審判が認めれば、第三者の補助が許される。
手当に費やせる時間は、1試合につき1回(3分間)とし、公式練習中も含まれる。
MTOはトレーナーやプレーヤー自身が、実際に治療にあたる時間とし、診察や衣服等の着脱時間は含めない。
また、上記MTOとは別にエンド交代時の90秒以内に、最大2回まで手当をするこ
とができる。
尚、疲労および体力消耗でのMTOの要求はできない。

付則2 トイレットブレークと着替え

トイレットブレークは、男女ともに試合中に1回、エンド交代時に取ることができる。
ウォームアップ中のトイレットブレークは、試合中と同じ扱いとなり、1回に数える。プレーヤーがコートに戻った後、残り時間を使ってウォームアップを再開する。
相手プレーヤーは待っている間、第三者とウォームアップすることはできない。
ウォームアップ開始前のトイレットブレークは自由であるが、試合への遅刻の罰則が適用される。
トイレットブレークを使ってしまった後、必要であれば以後のエンド交代時に限りトイレに行くことはできるが、90秒以内にプレーを再開しなければならない。再開できない場合は、コードバイオレーション(不当なゲームの遅延)が科せられる。
着替えはエンド交代時、女子のみコートを離れることが許されるが、男子は着替えのためにコートを離れることはできない。
トイレットブレークの時間は、男女とも理にかなった時間内とする。

付則3 タイムバイオレーション(ゲームの遅延)

プレーヤーはウォームアップ終了後、審判の指示でプレーを開始する。
その後は連続してプレーをし、試合中に不当な遅延をしてはならない。

サーバーは、ボールパーソンからボールを受け取った後、20秒以内にレシーバーに対し、サービスを行うための声がけをしなければならない。
レシーバーは、サーバーの掛け声から5秒以内に返答をし、サーバーはレシーバーからの返答後、5秒以内にサーブを打たなければならない。

エンドを交代するとき、主審からゲーム終了のコールがなされてから、次のゲームの第1サービスの掛け声までの時間は、最長90秒とする。
しかし、第1ゲーム終了後およびタイブレーク・ゲーム中は、連続してプレーするため、プレーヤーは速やかにエンドを交代しなければならない。
このとき、補水のみであれば可能である。

スローペースのプレー(20秒、90秒ルールの違反)に対しては、タイムバイオレーションが科される。
1回目はウォーニング(警告)、2回目以降は、その度に1ポイントを失う。

尚、サーバーからの掛け声、およびレシーバーからの返答後、それぞれにおいて5秒以上掛かった場合は、お互いのコンタクトが不十分とし、審判からの指示をもって、再度サーバーの掛け声からやり直す。

◎補足、20秒ルールについて。
テニスでは、アウトオブプレーになった瞬間から、次のポイントのサービスまでの時間を20秒と定めています。
しかし、ブラインドテニスにおけるB1クラス、ならびに低視力のプレーヤーはアウトオブプレーになった瞬間を把握することは困難であり、主審からコールが あって、はじめて認識できることが多々あります。
また、ボールパーソンからのボールの受け渡し方など、環境的要因によっても影響があるため、ブラインドテ ニスでは、ボールパーソンからボールを受け渡されてから、レシーバーへの掛け声までの時間を20秒と定めました。

付則4 コードバイオレーション

試合中、違反行為やマナー違反をしたプレーヤーには、ポイントペナルティ制度に従って、以下のペナルティが科される。

1回目、警告。
2回目、失点(相手に1ポイント加算)。
3回目以降、1ゲームを失う(相手に1ゲーム加算)。
悪質な違反で、レフェリーが失格を決定した場合。

ゲームの遅延(Delay of Game)

1.プレーの継続を拒否の場合。
主審の指示から20秒以内にプレーを開始しない場合、またはタイムバイオレーションを科された直後に20秒以内にプレーを開始しない場合は、コードバイオレーション(ゲームの遅延)となる。
2.メディカル・タイムアウト終了後に、プレーが再開されない場合。
ケガや筋ケイレンの手当てを完了した後、30秒経ってもプレーを再開しないとき、あるいはトイレへ行って規定の時間内に戻ってこないとき、あるいは主審がプレーを指示したにも関わらず規定時間内にプレーをしない場合は、コードバイオレーション(ゲームの遅延)となる。
3.手当てを受けられない症状のために、プレーを継続できない場合。
手当てを受けられない症状により、規定時間内にプレーが開始されない場合は、コードバイオレーション(ゲームの遅延)となる。
4.規定の時間内に、コートに戻ってこない場合。
コートを離れたが、規定時間内にコートに戻ってこない場合は、コードバイオレーション(ゲームの遅延)となる。

付則5 その他の試合方式

a) 6ゲーム先取方式
先に6ゲームを先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが5?5になったときは、第11ゲームをタイブレーク・ゲームとする。
b) 4ゲーム先取方式
先に4ゲームを先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが3?3になったときは、第7ゲームをタイブレーク・ゲームとする。
c) ショートセット方式
相手に2ゲーム以上の差をつけて、4ゲームを先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが3?3になったときは、第8ゲームまでスタンダード・ゲームを続け、5ゲームを先取した側が勝者となる。
ゲームカウントが4?4になったときは、第9ゲームをタイブレーク・ゲームとする。

◎補足、アドバンテージ方式について。
ブラインドテニスでは、デュースになったとき、ノーアドバンテージ方式を基本とするが、テニス同様にアドバンテージ方式を採用することができる。
アドバンテージ方式では、どちらかが2ポイント差をつけるまで、そのゲームは続行され、1ポイントリードした側をアドバンテージと呼ぶ。次のポイントがリードしている側に入らなければ、再びデュースとなる。

付録1 国際ブラインドテニス協会(IBTA)基準のコート
現在ブラインドテニスでは、ブラインドテニス誕生時から採用されているオリジナルコートサイズと、近年国際ブラインドテニス協会(以下IBTA)基準として採用されているコートサイズがあります。
IBTA基準のコートはB1のコートサイズとB2・B3のコートサイズが違うものとなります。

B1クラス
横 : 6.10m
縦 : 12.80m(ネットからベースラインまで6.40m)
サービスライン : ネットから4.60m(ベースラインから前方1.80m)
ネットの高さ : 83cm

B2・B3クラス
横 : 8.23m
縦 : 18.28m(ネットからベースラインまで9.14m)
サービスライン : ネットから6.40m(ベースラインから前方2.74m)
ネットの高さ : 90cm

付録2 IBTA基準のラケット

B1クラス : 23インチ
b2・b3クラス : 25インチ

付録3 掛け声と返事

IBTAの規定に従い、サーブを以下のように行います。
サーバー:Ready
レシーバー:Yes
サーバー:Play
ボールをサーブする。

以上。

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