Clash of Continents 2012
事業報告書

2012年11月23日(金)~11月26日(月)

日本ブラインドテニス連盟 (Japan Blind Tennis Federation)
Sound Ball Singapore
協力(ご寄付)  YM様、YY様、KN様、KK様

1. 今大会参加決定までの流れ

2007年1月に7名の訪英でブラインドテニス(当時の名称:視覚ハンディキャップテニス)の海外普及が始まった。

2007年9月の韓国普及は、木浦(モッボ)とソウルの2箇所の盲学校で行った。
アジアは、ベテランのテニスプレーヤーたちの尽力により、普及が進んでいる。
ベテランのプレーヤーたちは、アジア都市対抗の試合を通して友人になり、彼らの友情がアジア普及の大きな力となっている。

韓国では、2007年12月と2008年6月にソウルのハンビ盲学校で試合が行われ、6月の試合には、他の盲学校から校長を招き、紹介を行った。
2つの試合には、日本からもプレーヤーが参加し、交流を進めた。
9月には、釜山の盲学校での普及が行われた。
4月には、韓国ブラインドテニス連盟(以下韓国連盟)が設立され、国内の盲学校にブラインドテニスが紹介された。

2008年6月25日には、日本テニス協会ベテラン委員長の土屋善ニ氏のご尽力により、名古屋で行われたアジアベテラン都市対抗の中でデモを実施した。
そして、日本の中村靖之介氏(故人)、韓国の金教成氏(故人)、台湾の頼春林氏が連絡を取り合い、2008年9月の台湾デモ実現に結びついた。台北と台中の盲学校で交流が行われているとのことである。

中国へは過去3回、2009年に青木陽子さんの協力による天津、2010年の韓国連盟の協力による上海、2011年に日本ブラインドテニス連盟・韓国ブラインドテニス連盟の共催による徐州で普及会が開催された。

2010年4月にはイギリスからTennis Foundation, Metro Blind Sportの5名が来日し各地で全盲への指導方法講習会、交流会、意見交換会などの行事が持たれ、その後イギリスでは弱視プレーヤーがコーチ資格を取得し全盲への講習会が開催されている。

その他、ボールが送られたアメリカ、オーストラリアでも普及が進みつつあり、2011年9月にはロシアへの普及も行った。

今年度の海外普及活動としては、2012年6月28日~6月30日、韓国ブラインドテニス大会に、日本ブラインドテニス連盟として、参加している。

2012年10月22日、シンガポールの「Sound Ball Singapore」から、Clash of Continents 2012への、日本ブラインドテニス連盟としての参加要請を受けた。

「Sound Ball Singapore」は、2010年から、Ng Sook Zhen氏の尽力で、ブラインドテニス活動を行っており、最近ではシンガポール国内でのブラインドテニスに対する関心が高まってきている。

シンガポール国内でのブラインドテニスへの関心の高まりの結果が、今回のClash of Continents 2012と言うプロテニスプレイヤーの大会の場で、ブラインドテニスを紹介できる場を得た、と言うことに繋がっている。
大会実施期日が迫っていたこと、日本ブラインドテニス連盟の予算が厳しい現状を考慮し、日本ブラインドテニス連盟会長の桂田と、今年度から新設された国際委員会委員長の岩下の2名で、シンガポールに赴くこととした。

シンガポール渡航の目的を次の通り掲げた。

  1. 多くのお客様、テニスプレイヤーの集うClash of Continents 2012のサイドイベントで、ブラインドテニスを紹介することで、海外へのブラインドテニス普及の一助とする。
  2. 国際委員会として、「Sound Ball Singapore」の活動の現状を把握する。
  3. 「Sound Ball Singapore」とのミーティングを持ち、意見交換や、日本発祥のブラインドテニスに関する質問を受け、対応する。
  4. 「Sound Ball Singapore」に対して、難しいとされるB1プレイヤーの練習方法等をレクチャーする。

2.Clash of Continents 2012報告

Clash of Continents 2012への参加を決めた経緯は上述の通りである。

桂田、岩下(以下派遣団と記載)は、11月23日17時5分、関西国際空港発のジェットスター航空(格安LCC)にて、途中台北を経由し、シンガポール時間0時55分(日本時間1時55分)に、無事チャンギ国際空港に到着した。

機内で、着陸後到着ロビーまでの案内を依頼したのだが
「Wheelchair(車椅子)は必要か?」
と聞かれた。無論不自由なく歩ける派遣団は、「No Thank You」と断った!のだが……

機内スタッフの言うところによると
「日本と違って、シンガポールでの障害者の移動介助は、Wheelchairを使うことになっている。
Wheelchairが必要でない、と言うのなら、単独で歩いて到着ロビーまで行っていただくことになる」
とのこと。何の案内もなく、Sound Ball Singaporeの出迎えの方が待つ場所までたどり着けるはずもなく、派遣団は渋々Wheelchairで護送されることを選択せざるを得なかった。

蛇足だが、別添(サイト内略)の決算報告内で、シンガポール国内移動費としている項目は、2名の派遣団のWheelchair代である。
とにかく、Wheelchairで護送されながらも1時半頃に、無事にSound Ball Singaporeの方々との待ち合わせ場所に到着、主催者が準備くださったスイスホテルにチェックインすることができた。

数時間の仮眠の後、1日目の活動開始。
午前9時、Sound Ball Singaporeのメンバーの待つ、視覚・聴覚障害者の方の学校に到着。
派遣団の挨拶、日本ブラインドテニス連盟からのお土産(ブラインドテニスボール)の贈呈に続き、日本で行っているブラインドテニスの練習方法をお伝えした。

転がるボールをラケットで押さえて止める、自分で床に落としたボールを3バウンドで打ってみる、実際にコーチがネット際から球出しをしてそれを打ってみる、等等……
多くのプログラムを実施した。

午前11時までの2時間のレクチャーでは、日本で行っていることの全てをお伝えできなかったので、翌日の午前中に、レクチャーの続きを行うこととした。

午前11時15分、Clash of Continents 2012の会場に向けて出発。
11時45分頃には、インドアスタジアムに到着した。
館内に入り、割り当てられた会場で、音の聞こえ具合、ボールのバウンドの具合を確認した。
硬めの絨毯のような床面ではあったが、心配していたよりは、ボールの弾み具合も良好だった。
昼食後、実際にClash of Continents 2012の来場者の方々に、ブラインドテニスを体験いただいた。
必要に応じて、岩下がお客様とラリーを行う時間を設けた。

Clash of Continents 2012のサイドイベントの間の通訳は、日本大使館の職員の方等が、時間を区切って複数名でサポートくださった。
14時半頃から、Sound Ball Singaporeのメンバーと、派遣団とのミーティングを行った。

ボールの音を聞き分けるための良いトレーニング方法はあるか?、相手が打ったボールの空中での音は聞こえるのか?、体の近くで1バウンドしたボールはどうやって処理すればいいのか?、等等……
沢山の質問が出され、派遣団でそれら質問に答えた。
総合的には、練習と経験を積み重ねて、打球の聞き分けや、体の動きを学ぶことが重要、との話をさせていただいたが、上達への方法を問うSound Ball Singaporeのメンバーの姿勢には、早く日本のプレイヤーと同等の実力をつけて試合をしたい!との意気込みが感ぜられた。

16時からは、再びClash of Continents 2012に来られたお客様や、Sound Ball Singaporeメンバーと、ブラインドテニスをさせていただいた。

錦織圭選手のマネージャーの方や、ユニクロの関係者の方も来訪くださった。
錦織圭選手のマネージャーの方は
「今日か、明日、圭をこちらに呼ぶよ」
と、約束してくださった。

Clash of Continents 2012のサイドイベントの合間を見て、錦織圭選手の実際のプレイを観戦する貴重な機会も得られた。
錦織選手の打球の音、移動する時の靴音、ボールがネットにかかった時の鋭い音、錦織選手がポイントを取った時の歓声と拍手……
全盲の派遣団も、それらを肌で感じることができ、感動的な時間を経験できた。
18時、Clash of Continents 2012のサイドイベント、1日目を終えた。
イベント終了後は、Sound Ball Singaporeの方々にご案内いただき、屋台のような場所で、シンガポール料理をご馳走になった。

2日目も、午前中はSound Ball Singaporeへの技術的レクチャーを行った。
ペットボトルに鈴を取り付けたターゲット6本をボールを転がして倒すゲーム、ボールのバウンドに合わせて前後左右に体を動かす練習、サイドステップのフットワークのトレーニング、コートに仮装番号を付けることで1バウンド目の着地位置をイメージしやすくなることの説明、等等……

腕の振り方、体の動きのイメージ、コート全体のイメージ等の、感覚を養っていただくことに重点を置いて、レクチャーした。
「サイドステップって?どうすればいいの?」
そんな質問が出た時は、派遣団の体や足に実際に触れてもらい、体の動かし方を伝えた。
また、プレイヤーだけではなく、コーチをするスタッフにも、実際に球出しをしていただく等、派遣団が帰国した後もプレイヤーとコーチが良好にブラインドテニスの練習ができるよう、時間ぎりぎりまで様々なことを伝えた。

11時45分に、錦織圭選手がClash of Continents 2012のブラインドテニスブースに来訪くださる、との話だったので、11時過ぎには、インドアスタジアムに向けて移動した。
インドアスタジアムのブラインドテニスブースで、派遣団とSound Ball Singaporeメンバーは、ウォーミングアップをしながら、錦織圭選手をお待ちした。
私たちのブースを訪れてくださった錦織圭選手は、物腰の柔らかな、礼儀正しい方だった。
派遣団は、日本からのお土産(JBTFビンバッジ等)を錦織選手にお渡しし、その後は、岩下と錦織選手での、夢のブラインドテニスラリーが実現した。

錦織選手は、岩下とのラリーの途中から、アイマスクをしてのブラインドテニスにもトライくださった。
岩下が1球だけ放った鋭いサーブには、声を上げて驚いておられた。
錦織選手は、アイマスクを装着して、3バウンドのボールにラケットを当てておられた。
錦織選手との感動の時間は、記念撮影を締めくくりに、あっと言う間に過ぎた。
錦織選手との感動の時間の余韻のままに、昼食を終えた派遣団は、Clash of Continents 2012ご来場のお客様との、ブラインドテニス体験イベントを行った。

お客様の中には、テニスの経験者が多数おられ、その中の数名は、Sound Ball Singaporeにボランティアとして関わってくださる、と言ってくださった。
派遣団がClash of Continents 2012のサイドイベントを行っていると、ヤンコ・ティプサレビッチ選手の思いがけない来訪をいただいた。

岩下と、ヤンコ選手とのラリー!記念撮影!
派遣団にとって、本当にサプライズな出来事の連続だった。

15時頃からは、派遣団と、Sound Ball Singaporeにコーチやボランティアで関わってくださる方々との面談が行われた。
午前中に行った練習方法を再度お伝えしたり、ボールの位置を言葉で伝える方法(コートの番号化、ボールの個数に例えて表現する、ネットの上段中段下段等)、できるだけ多くのことをお伝えした。

組織作りの手順、日本での組織の状況、日本から海外に普及している状況、パラリンピックへの展望等、じっくりと話し合うことができた。
Clash of Continents 2012のサイドイベントで、延べ人数800名余の方々に、ブラインドテニスを知っていただき、楽しんでいただくことができた。

ギャラリーの中に、スペインの方がおられ、ブラインドテニスに興味をお持ちくださり、スペインにも紹介したい!と言ってくださった。
このような嬉しいお言葉をいただけるだけで、更なる海外普及への一助となった!と確信する。

18時、2日目の日程を無事に終えることができた。
Clash of Continents 2012のサイドイベント終了後は、Sound Ball Singaporeの方々にご案内いただき、ショッピングモールの中で、シンガポール料理をご馳走になった。

最終日は、4時には起床、5時過ぎにホテルをチェックアウトし、チャンギ国際空港に向かった。
シンガポール風の障害者ガイド方法であるWheelchairに乗せられて、お見送りくださったSound Ball Singaporeの方々と名残惜しいお別れをし、17時頃、関西国際空港に到着した。
またもや蛇足だが、関西国際空港でも、シンガポールからの誤連絡で、必要ない、と断っていたはずのWheelchairがスタンバイ。
到着ゲートに出迎えてくれた岩下の家族は、Wheelchairに乗せられた派遣団を見て、(2人とも、けがをしてしまったのか?!)と、とても驚かれたそう。

3.Clash of Continents 2012への参加を終えて

末筆ではありますが、日本ブラインドテニス連盟会長として、今回Clash of Continents 2012への参加を無事に終えられたことに、心より感謝申し上げます。

まずは、日本から応援くださった皆様、ご寄付くださいましたYM様、YY様、KN様、KK様、私が独力ではできなかった英文公式レターを作製くださった秋田様、日頃よりブラインドテニス活動をご支援くださいます皆様、今までブラインドテニス海外普及へのご支援をくださいましたNEC社会貢献室の秋山様、海外普及の一歩を踏み出してくださいました松居様、それから!武井実良会長に、その他ブラインドテニス誕生と発展にお力添えくださいました多くの皆様に、心から、深く、深く、感謝申し上げます。

皆様のおかげで、現在のブラインドテニスの姿があります。これは、間違いのないことです!
「本当に、ありがとうございます!」
皆様のお気持ちに答え、益々ブラインドテニスを発展させられるよう、私もできる限りの尽力をいたします。
今後共、どうぞよろしくお願いいたします。

次に、私たち派遣団を暖かくお迎えくださいましたSound Ball Singaporeの皆様、私たちの行動に目を配り、事細かに通訳くださいました皆様、私たちの滞在ホテルをご提供くださいましたClash of Continents 2012トーナメントディレクターのKenneth Low様、私たちの渡航の準備を細やかにしてくださった

Ng Sook Zhen様、私たちと、現地との調整をしてくださった金口 由季様、Clash of Continents 2012にご来場くださりブラインドテニスに関心を持ってくださったお客様、錦織 圭選手、ヤンコ・ティプサレビッチ選手、本当にありがとうございました!
日本で生まれた、このブラインドテニスを、今後世界に広げるには、Sound Ball Singaporeの皆様のお力添えが不可欠です。
共に、ブラインドテニスの楽しさを、世界に伝えて行きましょう!
私たち日本ブラインドテニス連盟は、世界の舞台で、シンガポールの皆様とプレイできる日を実現するために、今後も努力を続けます!

桂田会長挨拶Soundball Singaporeへのボール贈呈桂田会長と岩下委員長のラリー現地プレイヤーに手を取り指導する桂田会長ペットボトルボウリング現地プレイヤーのサーブ現地女子プレイヤーのラリーSoundball Singaporeの皆さんとの集合写真錦織圭選手を囲んでの集合写真ヤンコ ティプサレビッチ選手を囲んでの集合写真